ソニーグループの1〜3月期決算は、最終利益だけを見るとかなり厳しい内容に映る。純利益は前年同期比63%減の831億2,000万円となり、市場予想を大きく下回ったためだ [7]。
ただし、これは「ソニーの主要事業がすべて同じ勢いで悪化した」という話ではない。最も大きく確認されている要因は、ホンダとの電気自動車(EV)合弁事業をめぐる損失だ。そこにゲーム事業などの弱さ、半導体コストの上昇が重なった、というのが今回の減益の構図である [7][
4]。
まず何が起きたのか
ソニーの1〜3月期純利益は831億2,000万円、ドル換算で約5億2,960万ドルとなり、前年同期から63%減少した [7]。ABC Newsも、四半期ベースの利益が前年同期の約2,240億円から約830億円へ落ち込んだと報じている [
4]。
市場予想とのズレも大きかった。Dow Jones/Morningstarによると、S&P Global Market Intelligenceがまとめたアナリスト予想平均は2,022億4,000万円で、実績はこれを大幅に下回った [7]。
最大の要因はホンダとのEV合弁
今回の減益で最もはっきりしている重荷は、ホンダとのEV関連プロジェクトだ。ソニーはこの合弁事業に関連して、449億円の持ち分法投資損失を計上した [7]。
持ち分法投資損失とは、出資先の損失を出資比率などに応じて自社の損益に反映する会計上の処理を指す。つまり、ソニー本体の通常の製品販売がそのまま449億円悪化したというより、ホンダとのEV合弁をめぐる損失が決算に大きく響いたということだ。
ABC Newsも、日本の自動車メーカーであるホンダとEVを発売する計画の終了が、ソニーの利益を押し下げたと報じている [4]。報道されている範囲では、このEV関連の損失が1〜3月期の純利益急減を説明する最大の個別要因といえる。
ゲーム事業と半導体コストも逆風に
もちろん、EVだけが原因ではない。Dow Jones/Morningstarは、ゲーム事業やその他の事業の弱さも四半期利益を押し下げた要因として挙げている [7]。
ただ、ゲーム事業の見方は単純ではない。時事通信/Adnkronosは、ソニーの中核であるゲーム事業ではソフト販売が増えている一方、メモリー価格の高騰を背景にPlayStation 5本体の販売は減少が見込まれると伝えている [6]。つまり、ゲーム関連が利益の重しになった面はあるが、今回の63%減を「プレステ不振」だけで説明するのは行き過ぎだ。
半導体コストの上昇も痛手だった。ABC Newsは、コンピューターチップのコスト上昇が利益を削り、今後も懸念材料として残ると報じている [4]。とくにハードウエア事業では、メモリーなど部材価格の上昇が利益率に直結しやすい。PS5の販売見通しをめぐる報道でも、メモリー価格の上昇が意識されている [
6]。
「63%減」だけでは全体像を見誤る
注意したいのは、63%減という数字があくまで1〜3月期、つまり四半期の数字だという点だ。
3月までの通期では、ソニーの純利益は1.03兆円となり、前期の1.07兆円から減少した [4]。減益ではあるものの、四半期の63%減ほど急激な落ち込みではない。
さらにソニーは、新年度について二桁の増益を見込んでいる。Dow Jones/Morningstarは、四半期決算が市場予想を下回った一方で、エンターテインメント事業の底堅さが示されたと報じた [8]。時事通信/Adnkronosも、ゲーム、音楽、その他エンタメ事業の堅調さを背景に、ソニーが2026年度に過去最高の純利益を見込んでいると伝えている [
6]。
結論
ソニーの1〜3月期純利益が63%減った最大の理由は、ホンダとのEV合弁事業に関連する損失だった。そこにゲーム事業などの弱さと半導体コスト上昇が重なり、四半期利益を大きく押し下げた [7][
4]。
一方で、通期の減益幅は四半期ほど大きくなく、会社側は新年度に向けて増益を見込んでいる [8][
6]。今回の決算は、ソニー全体の成長力が一気に失われたというより、EV関連の会計損失が強く表れた四半期として見るのが実態に近い。





