FTSE Russellは2025年10月、ベトナムをフロンティア市場からセカンダリー新興市場へ再分類すると発表しました。発効日は2026年9月21日で、2026年3月の中間レビューでは、国際投資家の指数連動運用に必要なグローバルブローカーのアクセス改善が十分かどうかを確認するとしていました。
その後、2026年4月のThe Investor報道によると、FTSE RussellはベトナムがFTSE Equity Country Classification Frameworkにおけるセカンダリー新興市場の全基準を満たしていると確認し、2026年9月の発効日まで市場動向を引き続き監視するとしました。
この確認が重いのは、FTSEの判断が具体的な市場アクセス改革と結びついているためです。Business Timesは、外国機関投資家に対する事前資金手当て、いわゆるプレファンディング要件の撤廃と、決済不履行取引に対応する正式な手続きの整備により、ベトナムが格上げに必要な9基準を満たしたとFTSEが述べたと報じました。VNDirectも、非プレファンディングモデルと決済不履行への枠組みを、ベトナムがFTSEのセカンダリー新興市場基準を満たした主因として挙げています。
MSCIの観点から見ても、FTSEの格上げは無視しにくい材料です。理由はシンプルで、取引アクセスや決済に関する改革が、もはや「計画」だけでなく、別の主要指数会社の枠組みでは評価に耐える段階に進んだことを示すからです。
MSCIが見る市場アクセスの論点とも、一部は重なります。現地報道が引用するSSI Researchによれば、ベトナムは現在、MSCIの市場アクセス基準18項目のうち10項目を満たしており、SSIは2026年6月のレビュー期間にMSCIの格上げ監視リストへ入る可能性が高いとみています。VCCIも、2026年6月のウォッチリスト判断を重要な節目と位置づけ、SSIを引用して、ベトナムの条件は整いつつあると説明しています。
ただし、ここは切り分けが必要です。これはSSIなどの分析であり、MSCI自身のガイダンスではありません。MSCIのGlobal Market Accessibility Reviewは、FTSEの国別分類とは別に、MSCI独自の枠組みで市場アクセスを評価します。
MSCIが重視するのは、制度があるかどうかだけではありません。海外投資家にとって制約がどれほど実質的か、日々の売買や指数連動運用に支障がないかも問われます。
MSCIの2025年Global Market Accessibility Reviewは、市場のうち外国人投資家に閉ざされている比率が10%を超える場合はネガティブ評価、3%から10%の場合は懸念事項とみなすと説明しています。そのため、ベトナムのMSCI入りでは、単にFTSEで格上げされたかどうかではなく、大型銘柄を含む市場全体で外国人投資家が十分に投資できる余地があるかが重要になります。
ベトナム国内の市場報道でも、MSCI格上げに向けた残る障害として、外国人保有に関する制約や外国為替市場へのアクセスが挙げられています。つまりMSCIは、新ルールの導入だけでなく、決済、ブローカーアクセス、外為、外国人保有枠が実務上も安定して機能しているかを見極める可能性があります。
FTSE格上げによって、ベトナムのMSCIウォッチリスト入りの説得力は増しました。ただ、最終的には実行力が問われます。注目点は次の通りです。
投資家にとっての要点は、3つのイベントを分けて考えることです。
1つ目は、FTSE Russellによる分類変更です。これはすでに決定・確認されており、発効日は2026年9月21日です。
2つ目は、MSCIのウォッチリスト入りです。SSIの分析に基づく現地報道では、2026年6月レビューでの監視リスト入りは可能性が高いとされていますが、あくまでMSCIの審査プロセス上の一段階です。
3つ目は、MSCI Emerging Marketsへの正式な格上げです。これには、MSCIがベトナム市場のアクセス性を実務面で十分と判断する必要があります。
資金フローを見るうえでも、この違いは重要です。VCCIは、フロンティア市場ファンドと新興国市場ファンドのリバランスが相殺し合い、FTSE関連の変更による短期的な資金流入は限定される可能性がある一方、より大きな海外資金流入はベトナムがMSCI格上げを実現した後に起こりやすいと指摘しています。
結論として、FTSEの格上げはベトナムを長年の改革期待から、より現実味のあるMSCIウォッチリスト候補へ押し上げました。しかし、MSCIのデューデリジェンスが消えたわけではありません。2026年6月の焦点は、ベトナムの改革が海外投資家にとって十分な規模と安定性で機能し、決済、外為、外国人保有枠をめぐる摩擦をどこまで減らせているかです。