つまり、根拠が強いのは、AIを使ったなりすまし、偽の音声・動画、AIをうたう金もうけ話への警戒です。一方で、日常的なAIシステム全般について、ここで参照した資料から一律の誤答率を示すことはできません。
詐欺でよく使われるのは、急がせる言葉です。今すぐ払わないといけない、すぐにリンクを開け、確認コードを教えろ、誰にも言うな、今日中に承認しろ。こうした圧力があるときほど、最初にやるべきことは行動ではなく停止です。
自分の中で、次の停止ルールを決めておきましょう。
実務的には、いま来ている通話、チャット、ビデオ通話をいったん切ることです。そのうえで、自分が選んだ方法で確認します。以前から登録している番号にかけ直す、公式サイトを自分でブラウザに入力して開く、普段から使っている別の連絡手段で本人に確認する、という流れです。
役に立つ習慣は次の通りです。
同じ相手が用意した場の中で確認しても、確認にならないことがあります。
ワンタイムコード、パスワード、身分証の画像、暗号資産ウォレットへのアクセス、送金承認は、特に危険度の高い情報です。着信した電話、チャット、ビデオ通話、音声メッセージの中で求められたら、答えは一つです。中断して、別ルートで確認してください。
相手が銀行、行政機関、勤務先、プラットフォームのサポート、取引先、家族、上司を名乗っていても同じです。CFTCは、詐欺師がAIを使って偽の声、動画、ライブ配信風のビデオチャット、SNSプロフィール、悪質サイトを作り、だましをより信用させようとしていると説明しています 。
ディープフェイクを完璧に見破ろうとする必要はありません。まばたきが不自然か、口元がずれているか、といった技術的な見分け方だけに頼ると、見逃すことがあります。
大事なのは、次の問いです。その話は、独立した方法で確認できるか。
確認すべき点は次の通りです。
一つでも引っかかるなら、手続きを止めるべきです。お金、本人確認、アカウント権限が関わる場面では、第二の確認ルートを必須にしましょう。
AI搭載、AI自動化、AIで不労所得。こうした言葉は、品質や安全性の証明ではありません。FTCは2024年、誤解を招くAI関連の主張やAIスキームへの取り締まりを発表し、その中で、最先端のAIツールによってオンライン店舗を開くだけで短期間に毎月数千ドルの受動的収入を得られるかのように主張したオンラインビジネス案件への訴訟にも触れています 。
特に注意したいのは、次のような宣伝です。
安全な見方はシンプルです。運営者、契約条件、費用、リスク、一次情報を確認するまでは払わないこと。AIという言葉だけで信用しないことです。
AIの誤答に対する基本姿勢も、AI詐欺への対策と同じです。そのまま信じず、確認することです。
ここで参照した公的資料は、主に詐欺、なりすまし、誤解を招くAI関連の宣伝を扱っています。日常で使うAI全般について、どのくらい間違えるのかを一律に示す資料ではありません。だからこそ、重要な判断では次の手順を入れるのが安全です。
AIは文章作成、整理、要約には役立ちます。ただし、真実か、安全か、法的に有効かをAIだけで決めるべきではありません。
被害を減らすには、トラブルが起きてから考えるのではなく、先に手順を決めておくことが重要です。FTCによると、企業や政府機関をかたる詐欺は同機関に多く報告される詐欺類型の一つで、2024年には報告ベースで29億5,000万ドルの消費者損失がありました。ただし、この数字はAI詐欺だけに限定されたものではありません 。
家庭で決めておきたいことは次の通りです。
職場やチームでは、次のような運用が役立ちます。
電話、動画、チャット、AI生成らしき内容に行動を迫られたら、次の順番で止めてください。
AI詐欺やAIの誤答から身を守る最も現実的な方法は、特別な判定ツールに頼ることではありません。止まる、別ルートで確認する、重要情報を渡さない、AIの重要な主張は一次情報で確かめる。この手順を習慣にすることです。
今回の根拠は、AI生成の電話やテキスト、ディープフェイクによるなりすまし、生成AIを使った詐欺、誤解を招くAI関連の宣伝については比較的強いものです 。一方、AIシステム全般の日常的な誤答率について、ここで使った資料だけでは一般化できません。また、参照した資料は主に米国の公的機関によるもので、日本の相談窓口や法的手続きまでは本稿では別途検証していません。