OpenAIの表で使われているのは、GPT-5.5とClaude Opus 4.7を比較するSWE-Bench Pro Publicです 。これはSWE-bench Verifiedと同じではありません。BenchLMはSWE-bench Verifiedを、Django、Flask、scikit-learnなど人気のPythonリポジトリにある実際のGitHub issueを解かせる、人手検証済みのSWE-benchサブセットだと説明しています
。
つまり、Claude Opus 4.7のSWE-Bench Pro Public 64.3%という数字を、別のリーダーボードに載っているSWE-bench Verifiedの数字とそのまま比較してはいけません 。ベンチマーク名、評価ハーネス、実施日、モデル設定までそろえて見る必要があります。
Vellumは、GPQA DiamondでClaude Opus 4.7を94.2%、GPT-5.5を93.6%としています 。The Next Webも、Claude Opus 4.7が94.2%、GPT-5.4 Proが94.4%、Gemini 3.1 Proが94.3%と報じ、これらの差はノイズの範囲だとしています
。
GPQAは一般的な高度推論のシグナルとしては有用ですが、これだけで本番導入するモデルを決めるには弱くなっています。特に業務利用では、実際のタスク、ツール連携、失敗時のリカバリーまで含めて見るべきです。
SWE-bench VerifiedにおけるClaude Opus 4.7の数値は、ソースによって一致しません。BenchLMは2026年4月24日時点でClaude Opus 4.7 Adaptiveを87.6%としています 。LLM Statsも87.6%を掲載しています
。一方、LM CouncilはClaude Opus 4.7 maxを83.5% ±1.7とし
、MindStudioは82.4%としています
。
これは、どれか一つが即座に誤りだという意味ではありません。モデル設定、評価ハーネス、テスト日、リトライの扱い、推論モードの違いで数字は変わり得ます。開発チームにとって、公開ベンチマークは候補を絞る材料であって、自社リポジトリや実運用フローでの検証の代わりにはなりません。
Claude Opus 4.7の強いシグナルは、コード修正とツールを多用するエージェント用途にあります。OpenAIの表では、SWE-Bench Pro PublicでClaudeが64.3%、GPT-5.5が58.6%。FinanceAgent v1.1でもClaudeが64.4%、GPT-5.5が60.0%です 。VellumのMCP Atlasでも、Claudeは79.1%でGPT-5.5の75.3%を上回っています
。
Anthropic自身も、エージェント型ワークフローに関するパートナー評価を紹介しています。Claude Opus 4.7の発表では、Hebbiaが中核オーケストレーターエージェントにおけるツール呼び出し精度とプランニングで二桁の改善を見たこと、Rakuten-SWE-BenchでOpus 4.7がOpus 4.6の3倍の本番タスクを解決し、Code QualityとTest Qualityでも二桁の改善があったことが引用されています 。
ただし、こうした情報は有用な製品シグナルであって、自社環境での独立評価そのものではありません。自律的なリポジトリ修正、MCP、長いマルチツール処理を重視するなら、Claude Opus 4.7を先に試す価値があります。ただし、最終判断は自社のテストスイート、権限設計、ツール呼び出しパターンで確認すべきです。
GPT-5.5の優位が最も明確なのはTerminal-Bench 2.0です。OpenAIは、GPT-5.5が82.7%、Claude Opus 4.7が69.4%、Gemini 3.1 Proが68.5%だったと報告しています 。同じ表では、GPT-5.5はGDPvalのwins/tiesで84.9%、Claudeは80.3%。OfficeQA ProではGPT-5.5が54.1%、Claudeが43.6%です
。
Vellumの表も、コンピューター操作、検索、推論の文脈を補います。OSWorld-VerifiedではGPT-5.5が78.7%、Claudeが78.0%で僅差。BrowseCompではGPT-5.5が84.4%、Claudeが79.3%。FrontierMath T1–3ではGPT-5.5が51.7%、Claudeが43.8%です 。BrowseCompでは、GPT-5.5 Proが90.1%と報告されています
。
一方、コーディング全体で見れば単純ではありません。GPT-5.5はTerminal-Bench 2.0で非常に強い一方、OpenAIのSWE-Bench Pro PublicではClaude Opus 4.7を下回っています 。OpenAIのSystem Cardは、GPT-5.5のCoT-Control評価について、GPQA、MMLU-Pro、HLE、BFCL、SWE-Bench Verifiedなどから作られた1万3000件超のタスクを含む評価スイートだと説明しています
。ただし、そのソースはDeepSeek V4やKimi K2.6との直接比較を示していません
。
DeepSeek V4については、今回のソース群に直接のベンチマーク値がありません。近いものとして、MangoMindは2026年4月のコーディング推奨でDeepSeek V3.2をSWE-bench 89.2%とし、Claude Opus 4.6の93.2%、GPT-5.4 Proの91.1%より下に置いています 。しかし、これはDeepSeek V3.2の数字であり、DeepSeek V4の性能を示すものではありません。
Kimi K2.6も同様です。Stanford HAIは、2026年2月時点のSWE-bench Verifiedで、KimiK2.5が70%〜76%のモデル群に含まれると述べています 。また、SiliconflowはKimi K2 Thinkingについて、GPQA 84.5、SWE Bench 71.3を掲載しています
。どちらもKimi K2.6ではないため、Kimi系モデルの周辺情報としては参考になりますが、Kimi K2.6そのものの直接証拠にはなりません。
同じベンチマークで直接比較できる範囲では、GPT-5.5はターミナル/CLIエージェント、ブラウザ/検索、オフィス系業務、いくつかの数学評価で有力候補です 。Claude Opus 4.7は、SWE-Bench Pro Public、MCP/ツール連携、FinanceAgent v1.1で強い候補です
。
DeepSeek V4とKimi K2.6については、今回のソースだけではClaude Opus 4.7やGPT-5.5と公平に順位付けできません。確認できる数字はDeepSeek V3.2、KimiK2.5、Kimi K2 Thinkingなど別バージョンのものです。したがって、DeepSeek V4やKimi K2.6がClaude Opus 4.7またはGPT-5.5を上回るという主張は、このソース群の中では直接のベンチマーク数値によって裏づけられていません 。