公開ベンチマークだけでClaude Opus 4.7とGPT-5.5を比べると、「どちらが上か」よりも「何に使うか」で結論が変わります。Claude Opus 4.7はSWE-bench Pro、GPQA Diamond、MCP Atlasで強く、GPT-5.5はTerminal-Bench 2.0、OSWorld-Verified、BrowseComp、FrontierMathで強い結果が報告されています [6][
14][
15][
29][
34]。
ただし、ベンチマークの数字はそのまま横並びにできるとは限りません。Artificial AnalysisはGPT-5.5をxhigh条件、Claude Opus 4.7をNon-reasoning、High Effort条件で比較しており、LLM Statsも「ベンチマークは勝者ではなくワークロードを示す」と説明しています [3][
4]。
まず結論:用途別に見るべき
| 分野 | ベンチマーク | Claude Opus 4.7 | GPT-5.5 | 読み方 |
|---|---|---|---|---|
| コーディング | SWE-bench Pro | 64.3% | 58.6% | 実際のGitHub issue解決に近いタスクではClaudeが高めです [ |
| ターミナル作業 | Terminal-Bench 2.0 | 69.4% | 82.7% | CLI、ファイル操作、スクリプト実行ではGPT-5.5が大きく先行します [ |
| コンピューター操作 | OSWorld-Verified | 78.0% | 78.7% | ほぼ同水準ですが、公開値ではGPT-5.5が0.7ポイント上です [ |
| 検索・ブラウジング | BrowseComp | 79.3% | 84.4% | 調査型エージェントではGPT-5.5が優位です。GPT-5.5 Proは90.1%とされています [ |
| ツール利用 | MCP Atlas | 79.1% | 75.3% | ツール利用全般をGPT-5.5優位とは言い切れず、この項目はClaudeが上です [ |
| 科学推論 | GPQA Diamond | 94.2〜94.3% | 93.6% | 差は小さいものの、Claude Opus 4.7がわずかに高い値です [ |
| 数学 | FrontierMath T1-3 / T4 | 43.8% / 22.9% | 51.7% / 35.4% | 高難度数学ではGPT-5.5がはっきり高く出ています [ |
| 総合推論 | HLE、ツールなし | 31.2%または46.9% | 40.6%または41.4% | 出典によって数値が食い違い、決定打にはしにくい項目です [ |
| ツール付き推論 | HLE、ツールあり | 54.7% | 52.2% | ツール使用条件ではClaudeが僅差で上と報告されています [ |
コーディング:コード修正ならClaude、CLI自動化ならGPT-5.5
ソフトウェア開発向けの比較では、ベンチマークをひとまとめにしないことが重要です。SWE-bench ProではClaude Opus 4.7が64.3%、GPT-5.5が58.6%とされ、Claudeが上回ります [6][
34]。Vellumも、この差を実際のGitHub issue解決系タスクでClaudeが強いサインとして説明しています [
34]。
一方、Terminal-Bench 2.0では結果が逆になります。このベンチマークはファイル操作、スクリプト実行、多段階のCLIワークフローなど、現実のターミナル作業を測るものと説明されており、GPT-5.5が82.7%、Claude Opus 4.7が69.4%と報告されています [6][
14][
23]。開発環境でコマンドを実行しながらファイルを探し、修正し、テストを回すような自動化では、GPT-5.5を先に試す理由があります。
定性的な比較でも似た傾向です。Mindstudioは、GPT-5.5は正確なツール利用やファイル探索が必要な問題でやや強く、Claude Opus 4.7は大きなコードベース全体のアーキテクチャ理解で優れると説明しています [5]。つまり、選択の分かれ目は「コードそのものを深く直す」のか、「ターミナル上で作業を進める」のかです。
エージェント:GPT-5.5が広く強いが、例外もある
OpenAIのGPT-5.5発表資料では、OSWorld-VerifiedでGPT-5.5が78.7%、Claude Opus 4.7が78.0%と示されています [15]。差は小さいものの、公開値ではコンピューター操作系ベンチマークでGPT-5.5がわずかに先行しています [
15]。
BrowseCompでは差がもう少し開きます。同じOpenAI資料はGPT-5.5を84.4%、GPT-5.5 Proを90.1%、Claude Opus 4.7を79.3%としています [15]。検索、ブラウジング、情報収集型エージェントを製品の中心に置くなら、GPT-5.5系を有力候補にできます。
ただし、ツール利用全体をGPT-5.5の勝ちとまとめるのは早計です。MCP AtlasではClaude Opus 4.7が79.1%、GPT-5.5が75.3%と示されています [15]。エージェント性能を評価するなら、ブラウザー検索、GUI操作、MCP Atlasのようなツール呼び出し、ターミナル自動化を分けてテストするのが安全です。
推論:科学系はClaudeが僅差、数学はGPT-5.5
科学・専門知識寄りのGPQA Diamondでは、Claude Opus 4.7が94.2〜94.3%、GPT-5.5が93.6%と報告されています [14][
29]。差は大きくありませんが、提供された資料の範囲ではClaude Opus 4.7がわずかに上です [
14][
29]。
数学では逆です。FrontierMath T1-3ではGPT-5.5が51.7%、Claude Opus 4.7が43.8%、さらに難しいFrontierMath T4でもGPT-5.5が35.4%、Claude Opus 4.7が22.9%とされています [14]。高難度の数学、形式的な推論、検算を重視するなら、GPT-5.5を先に評価するのが現実的です。
HLEはタイブレーカーにしにくい
Humanity’s Last Exam、つまりHLEは注意が必要です。Mashableはツールなし条件でGPT-5.5が40.6%、Claude Opus 4.7が31.2%としてGPT-5.5優位を示しています [6]。一方、o-megaとRDWorldはツールなし条件でGPT-5.5が41.4%、Claude Opus 4.7が46.9%としてClaude優位を示しています [
14][
23]。
ツールあり条件では、MashableとRDWorldがGPT-5.5を52.2%、Claude Opus 4.7を54.7%としており、Claudeが僅差で上です [6][
23]。ただし、ツールなしの結果が出典ごとに大きく異なるため、HLEだけで総合推論の勝者を決めるのは避けた方がよいでしょう。
コンテキスト長、価格、ランキングは参考情報
コンテキストウィンドウの表記も出典によって違います。Artificial AnalysisはGPT-5.5を922kトークン、Claude Opus 4.7を1,000kトークンとしています [3]。一方、LLM Statsは両モデルがどちらも1Mトークンのコンテキストで提供され、入力価格帯も同じだと説明しています [
4]。実務ではどちらも超長文コンテキスト対応モデルと見なしつつ、実際の上限と価格は利用するAPI、プラン、推論モード、ツール呼び出し条件で確認する必要があります。
総合リーダーボードも便利ですが、最後の判断材料にはなりません。BenchLMはClaude Opus 4.7をprovisional leaderboardの110モデル中2位、verified leaderboardの14モデル中2位としています [1]。同じ系統の出典で、GPT-5.5はprovisional leaderboardの112モデル中5位、verified leaderboardの16モデル中2位と示されています [
17]。これは両モデルが最上位級であることの目安にはなりますが、実際の導入では失敗パターン、レイテンシ、コスト、ツール呼び出しの安定性の方が効くこともあります。
どちらを先に試すべきか
Claude Opus 4.7を先に試す価値が高いのは、次のようなケースです。
- SWE-bench Proに近い、実際のコードissue解決タスクが多い [
6][
34]
- 大規模コードベースの構造理解、リファクタリング、コードレビュー品質を重視する [
5]
- GPQA Diamond型の高難度な科学・専門知識クエリが中心になる [
14][
29]
- MCP Atlasのような特定のツール呼び出し性能を重く見る [
15]
GPT-5.5を先に試す価値が高いのは、次のようなケースです。
- ターミナルやCLIを使う自動化、ファイル操作が多い [
6][
14][
23]
- OSWorld-Verifiedのようなコンピューター操作ベンチマークを重視する [
15]
- BrowseComp型の検索・ブラウジングエージェントが重要 [
15]
- FrontierMath系の数学推論性能が必要 [
14]
最終判断
Claude Opus 4.7はSWE-bench Pro、GPQA Diamond、MCP Atlasで強い選択肢です [6][
14][
15][
29][
34]。GPT-5.5はTerminal-Bench 2.0、OSWorld-Verified、BrowseComp、FrontierMathで強い選択肢です [
6][
14][
15][
23]。
したがって結論は、「Claude Opus 4.7かGPT-5.5か」ではなく、「何を自動化するのか」です。複雑なコード修正や科学系の質問が中心ならClaude Opus 4.7を先に、ターミナル自動化、ブラウジング、コンピューター操作、数学推論が中心ならGPT-5.5を先にベンチマークするのが、もっとも実務的な進め方です。




