つまり、売上が弱かったから比率が上がったわけではない。売上も過去最高だったが、将来に向けた投資の伸びがそれ以上に速かった、というのがこの四半期の読みどころだ。
| 指標 | 2026年度第2四半期の結果 | 読みどころ |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,112億ドル、前年同期比17%増 | Appleが過去最高の3月四半期とした |
| 希薄化後1株利益 | 2.01ドル、同22%増 | 3月四半期としてのEPS記録 |
| 製品売上高 | 802億ドル | Appleの売上の中心はなおハードウェア |
| サービス売上高 | 310億ドル | サービス部門として過去最高 |
| iPhone | 3月四半期の売上記録 | iPhone 17ラインアップへの強い需要が寄与したとAppleが説明 |
| 研究開発費 | 114億ドル、前年同期比約34%増 | 9to5MacはApple史上最高の四半期R&D支出と報じた |
Appleは、iPhoneが3月四半期として売上記録を更新し、iPhone 17ラインアップへの強い需要が結果を支えたと説明した 。第三者による決算説明会の要約でも、iPhone売上は前年同期比で約22%増とされている 。
この点は大きい。今回の決算は「サービスだけが伸びた」という話ではない。製品売上高は802億ドル、サービス売上高は310億ドルで、四半期の売上の大半はなお製品側から生まれている 。
なお、同じ決算説明会要約では、一部のiPhoneおよびMacモデルに供給制約があったことも指摘されている 。それでもiPhoneが3月四半期の記録を作ったことは、足元の需要の強さを示す材料になる。
サービス売上高は310億ドルに達し、部門として過去最高となった 。全社売上高1,112億ドルと比べると、サービスは四半期売上の約28%を占めた計算になる 。
さらにAppleの公式発表では、すべての地域セグメントで売上が2桁成長したとされている 。つまり、今回の過去最高は特定の1製品や1地域だけに依存したものではなく、iPhone、サービス、地域別の広がりが重なった結果だった。
売上だけでなく、希薄化後1株利益も前年同期比22%増の2.01ドルに伸びた 。また、8-K関連資料の要約によると、営業キャッシュフローは四半期で280億ドルを超えた 。
トップラインの伸びだけでなく、1株利益とキャッシュ創出も強かった。これが、今回の3月四半期を単なる売上増以上のものにしている。
理由はかなりシンプルだ。研究開発費の伸びが、売上の伸びを上回ったからだ。
計算はこうなる。
114億ドル ÷ 1,112億ドル ≒ 10.3%
Appleの売上高は前年同期比17%増で、3月四半期として過去最高だった 。一方、研究開発費は前年同期比で約34%増えた 。分母である売上も大きく伸びたが、分子であるR&D費用はそれ以上のペースで増えた。その結果、売上高に占めるR&Dの割合が10%台に乗った。
ここで注意したいのは、「これがApple史上初めて10%を超えた」と断定するには、過去四半期ごとの比率を網羅した系列データが必要だという点だ。今回の資料から確実に言えるのは、少なくともこの四半期にR&D費用が114億ドルという過去最高水準に達し、売上高比で約10.3%になったということだ 。
Appleは、114億ドルのR&D費用をプロジェクト別に細かく開示しているわけではない。したがって、特定の1テーマにすべてを結びつけるのは慎重であるべきだ。
ただし、方向感は見える。9to5Macは、AppleのR&D支出が過去最高に達した背景として、業界全体で進むAI開発投資の拡大を挙げている 。また、別の決算説明会要約では、Appleが製品とサービスにまたがってR&D投資を増やしているとの説明が紹介されている 。
したがって、AIは有力な背景の一つと読める。ただし、AppleのR&DはAIだけでなく、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム、サービスを含む幅広い開発投資として見るのが自然だ 。
Appleの記録的な3月四半期は、iPhoneの強さ、サービス売上の過去最高、地域別の広い成長、1株利益の伸び、そして大きな営業キャッシュフローが重なった結果だった 。
一方で、研究開発費が売上高の約10.3%に達したことは、別の物語を示している。Appleは売上が弱いから支出比率が上がったのではない。売上が強い局面でも、それ以上の速度で将来投資を増やしている。
今回の決算は、AppleがiPhoneとサービスで現在の収益力を維持しながら、AIを含む次の技術競争に向けて投資のアクセルを踏んでいることを示す四半期だった 。