結論:メカニカルシール漏れは「少し締める」ではなく交換で考える
Lowara 3SVでメカニカルシール部から水が漏れている場合、グランドパッキンのように増し締めして止めるものとして扱うのは適切ではありません。小型Lowara e-SV向けの修理資料では、メカニカルシールとOリングを、モーターを取り外して交換する手順が説明されています。対象範囲には1SV〜5SV全範囲、および5.5kW未満の10SV〜22SVが含まれます。[3][
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3SVは1SV〜5SVの範囲に入るため、基本方針は「型式を確認する」「本当にメカニカルシールから漏れているかを見極める」「適合するシールキットを用意する」です。参照資料は、漏れを補正する調整ねじや追加の締め込みで直す手順を示していません。[3][
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もちろん、実際の作業は手元のポンプの正確な型式・仕様に対応した取扱説明書やサービス資料に従う必要があります。ただし方向性としては明確で、メカニカルシールは“調整して延命する部品”ではなく、漏れが確認されたら交換対象として扱うのが現実的です。
分解の前に:本当にシールから漏れているか確認する
ポンプとモーターの境目付近に水が見えても、それだけでメカニカルシールの摺動面が原因とは断定できません。近くの継手、フランジ、エア抜き、ドレン、配管側から回り込んでいることもあります。部品を注文したり分解したりする前に、次の順で確認します。
- 電源を遮断する:誤起動しないよう、確実に電源を切ります。
- 吸込側・吐出側の圧力を抜く:残圧がある状態での作業は避けます。
- 周辺をよく乾かす:最初に水が出てくる位置を見つけやすくします。
- 漏れ始める場所を見る:シャフト周辺、シールハウジング、フランジ、継手、エア抜きなどを切り分けます。
- 銘板を確認する:モデル、仕様、出力、製造番号、構成を控えます。
- 直近の使用状況を振り返る:空運転、呼び水切れ、振動、堆積物、前回の分解歴などを確認します。
この確認をしておくと、実は隣の継手からの漏れだった、残圧でにじんでいただけだった、過去に改造されていて標準部品が合わなかった、といった手戻りを減らせます。
用意するのは適合するメカニカルシールとOリング
参照資料が扱っている作業は、小型Lowara e-SV製品のメカニカルシールとOリングの交換です。[3][
4] したがって、準備すべき部品は「3SV用」とだけ書かれた汎用品ではなく、実機の銘板情報に合ったメカニカルシールキットとOリングです。
注文時は、少なくとも次の情報を販売店やサービス窓口に伝えると確認がしやすくなります。
- ポンプの正確な型式
- 出力、電源仕様、構成
- 製造番号またはシリアル番号
- 使用流体
- 使用温度や圧力など、分かる範囲の運転条件
- 過去にシールやモーターを交換しているかどうか
海水、ブライン、淡水化設備などで使っている場合も、その条件を伝えてください。重要なのは「3SV」という呼び名だけで判断せず、実機の仕様に合う部品を確認することです。
“balanced seal”は「調整式」という意味ではない
英語の資料や動画で出てくる “balanced mechanical seal” という表現は、少し紛らわしく感じるかもしれません。これは一般に、バランス型のメカニカルシールを指す言い方です。
提供されているLowara e-SVI向け資料でも、内容は多段浸漬ポンプe-SVIのバランス型メカニカルシール交換についてです。[5] これは3SVそのものの手順ではありませんが、用語の理解には役立ちます。つまり “balanced” はシールの種類を示しているのであって、「現場で締め具合を調整して漏れを止める」という指示ではありません。[
5]
作業の考え方:小型e-SVではモーターを外してアクセスする
小型Lowara e-SVに関する修理資料では、メカニカルシールとOリングの交換はモーターを取り外して行うものとして説明されています。[3][
4] 実際の分解順序や締付条件は、必ず該当モデルの資料に合わせる必要がありますが、作業の流れとしては次のようになります。
- ポンプを電気的・水圧的に隔離する
- 残圧を抜き、必要に応じて排水する
- 分解前の向きや部品位置を写真で記録する
- 小型e-SV向け資料の考え方に従い、モーターを外してシール部へアクセスする[
3][
4]
- 古いメカニカルシールとOリングを取り外す
- シャフト、スリーブ、シール座面に傷や摩耗がないか確認する
- 新しいメカニカルシールとOリングを正しい向きで組み付ける
- 復旧後、呼び水・エア抜き・試運転を段階的に行う
シャフトやスリーブ、シール座面に傷がある場合、シールだけを交換しても再び漏れる可能性があります。その場合は、シールキット交換だけでなく、接触面や関連部品の状態確認が重要です。
専門業者に任せたほうがよいケース
次のような場合は、ポンプ整備に慣れた技術者や販売店に相談するほうが安全です。
- ポンプが保証期間内である
- 設備を安全に停止・減圧できない
- 漏れ量が多い、または急に悪化している
- ポンプに振動や異音がある
- シャフトやシール座面に傷が見える
- 適合するシールキットの品番が分からない
- 使用流体が水以外、または条件が特殊である
まとめると、Lowara 3SV/e-SVのメカニカルシール漏れで優先すべきなのは、増し締めによる応急調整ではありません。参照できる小型e-SVの修理資料は、メカニカルシールとOリングの交換を案内しています。[3][
4] まず漏れ位置を確認し、銘板情報から適合部品を特定し、安全に停止・減圧したうえで、シールまわりを正しく交換するのが基本です。



