103億ドルの全社売上に対してゲーム売上が7億2,000万ドルということは、ゲーム部門の比率はおよそ7%です 。つまり今回の警告は、AMD全体がゲーム事業に依存しているという意味ではありません。むしろ、AIとデータセンターが会社全体を引っ張るなかで、消費者向けのゲーム部門が部材高の影響を受けやすい、という構図です
。
ゲーム関連ハードウェアは、いくつもの層でメモリに依存しています。PCのシステムメモリ、SSDなどのストレージ、GPUのグラフィックスメモリ、家庭用ゲーム機のメモリサブシステムがその代表例です。
Sourceabilityは、DDR4、DDR5、NANDの価格が2025年初め以降に複合的に上昇し、一部では200%を超える上昇も見られると報告しています。その背景として、四半期ごとに積み重なった値上がりと、AI分野からの強い需要が挙げられています 。
こうした部材価格が上がると、ハードウェアメーカーの選択肢は限られます。コストを自社で吸収する、販売価格を上げる、値引きを減らす、構成を見直す、あるいはそれらを組み合わせるしかありません。TrendForceが指摘するように、BOMコストの上昇は小売価格の上昇と需要の弱まりに直結しやすいのです 。
AMDの2026年第1四半期のゲーム部門は、Radeon GPU需要が支えになりました。一方で、家庭用ゲーム機のサイクルが進んだ段階にあることから、semi-custom revenueは前年同期比で減少したとされています 。
Radeonのようなグラフィックスカードでは、グラフィックスメモリの値上がりが基板全体のコストを押し上げます。2026年初め前後のメディアやサプライチェーン関連の報道では、AMDがRadeonの価格を少なくとも10%引き上げる準備をしているとの見方が出ており、Nvidia製カードにも同様のメモリコスト圧力があるとされています 。
ただし、これらはあくまで流通・サプライチェーン上の見通しとして報じられたもので、すべての店頭価格がそのまま確定したという話ではありません。それでも、AMD決算説明会をめぐるコスト警告の方向性とは一致しています 。
家庭用ゲーム機側でも、メモリ高は値下げ余地を狭めます。TrendForceは、ゲーム機メーカーがコスト上昇のために値下げ戦略を実行しにくくなり、利益率を守るために高価格寄りの戦略へ移る可能性があるとしています 。
影響は、必ずしも一律の希望小売価格改定として表れるとは限りません。むしろ、実質価格の上昇、セールの減少、バンドルの縮小、構成の見直しといった形で見えやすくなる可能性があります。
2026年のゲームハード市場は、値下げ競争の年というより、メーカーが利益率を守る年になりそうです。AMDはAIとデータセンターの成長を支えにできますが、ゲーム部門はメモリ主導のコスト圧力にさらされています 。
消費者にとっての実務的なポイントはシンプルです。メモリ価格が高止まりするなら、GPU、RAM、SSD、ゲーミングPC、家庭用ゲーム機で大幅な値引きを見つけにくくなる可能性があります。