AIを悪用した攻撃への備えは、セキュリティ部門に追加ツールを買わせるだけでは足りません。英国NCSCは、サイバーリスクを「ITだけの問題」ではなく、業務停止、評判毀損、財務・法務上の影響につながる取締役会の優先事項と位置づけています[1]。WEFの Global Cybersecurity Outlook 2025 でも、回答組織の72%が組織のサイバーリスク増加を報告し、約47%が生成AIによる攻撃者側の進化を主要懸念に挙げています[
6]。
経営陣が変えるべき問いは、「侵入を完全に防げるか」ではなく、「侵害されても重要業務をどれだけ早く維持・復旧できるか」です。NCSCは、サイバー防御で制御できることに集中しつつ、制御できない事態にも備える必要があるとしています[3]。
経営の前提:完全防御よりレジリエンス
AI時代のサイバー対策は、防御、検知、封じ込め、復旧、説明責任を一体で設計する経営課題です。NCSCは、リーダーに必要なサイバーレジリエンスを、攻撃に備え、対応し、復旧するための戦略的な見通しだと説明しています[1]。
取締役会が定例化すべき問いは、技術の細部よりも事業影響です。どの業務が止まると顧客、売上、規制対応に重大な影響が出るのか。重要業務ごとの最大許容停止時間と、実際に復旧できる時間にはどれだけ差があるのか。ランサムウェア、クラウド停止、認証基盤の侵害、主要ベンダー停止時に、誰が何を決めるのか。これらを経営会議で確認できる状態にすることが出発点です[1][
3]。



