AI処理用チップで使われるAIアクセラレーターでは、高帯域幅メモリ(HBM)のような先進メモリが重要になる。市場報道では、AIアクセラレーター向けHBMへ製造能力が移る構造変化が、汎用DDRやLPDDRの価格上昇をすでに招いているとされる。PCユーザーから見ると、これは安いDDR5キットの減少、入荷後すぐの売り切れ、価格の乱高下として現れる。
米国小売の例では、Tom’s Hardwareが、32GB(16GB×2)のDDR5キットが359.99ドルで売られ、安いキットは掲載から数秒で消え、米ECサイトNeweggでは一部の出品が最大4000ドルという極端な価格に達したと報じた。4000ドル級の表示を通常の実売価格と見るべきではないが、供給が詰まったときに市場がどれほど歪むかは分かる
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偽物は、転売価値のある商品に寄ってくる。本物のDDR5が不足し、高く売れるようになるほど、古いモジュールを貼り替える、返品品をすり替える、使えない中身を新品のように梱包する、といった手口のうまみが増す。Menatechは、高い需要、限られた供給、DRAMコスト上昇の組み合わせにより、メモリモジュールが詐欺的販売者の標的になりやすくなったと報じている。
Notebookcheckも、DRAM危機でDDR5価格が急騰するなか、購入者はAmazonのような大手プラットフォームであっても、価格高騰だけでなく露骨な詐欺に注意する必要があると指摘した。ただし、これらの報道は「市場全体の何%が偽物か」を示す統計ではない。分かっているのは、複数の具体例が出ており、メーカー側も偽造品や返品詐欺を意識した対策を始めているということだ
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偽DDR5といっても、手口は一つではない。古い規格のメモリを隠す単純なすり替えもあれば、ヒートスプレッダでチップが見えないことを利用した、ぱっと見では分かりにくいものもある。
2026年5月、Sina/快科技は、アジア市場でSamsung製をうたう16GB DDR5 SO-DIMM(ノートPCや小型PC向けのメモリ)に偽造品が出回っていると報じた。ラベルはSamsung製を示す一方、分解写真ではヒートスプレッダの下にSK Hynix表記のチップが見つかったという。さらに、一部の「DRAMパッケージ」は電気的に機能しないプラスチック板や空基板だったとされる
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同報道が挙げた外観上の警告サインは、金メッキ端子(ゴールドフィンガー)の端が本物より丸い、PCB基板の色が薄い、PMIC(電源管理IC)の形状や回路配置が純正設計と違う、といった点だ。実際の症状は分かりやすく、PCが起動せず映像信号も出ないことが多かったという
。また、これらのモジュールはYahoo Japanの中古オークションにも現れ、16GB版が1万2845円前後で出品され、「ジャンク」「動作未確認」「返品不可」といった条件が付く例が報じられた
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より単純なすり替えもある。Gagadgetは、購入者がCorsair Vengeance DDR5を注文したもののDDR5スロットに挿さらず、調べるとDDR5風のヒートスプレッダの下にDDR4モジュールが隠れていたケースを報じた。
この手口で怖いのは、「自分の取り付け方が悪いのか」と思って無理に押し込んでしまうことだ。DDR4とDDR5は切り欠き位置が違うため、合わないモジュールを力で入れようとすると、偽物をつかまされた上にマザーボード側を傷める恐れがある。
「封があるから安全」とも言い切れない。Notebookcheckは、Amazon Spainで購入されたADATA XPG Caster 32GB DDR5-6000 CL40キットの事例を取り上げた。問題の1箱は一見すると密封済みで本物に見えたが、中身はDDRまたはDDR2世代とみられる大幅に古いメモリだったという。TweakTownとGIGAZINEも、密封されたDDR5キットから古いDDR2モジュールや、重量をごまかすための偽ウェイトが出てきた関連事例を報じている
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梱包そのものが対策対象になっているのはこのためだ。CorsairはVengeance DDR5のパッケージを、中身が見えにくい紙箱から、改ざん防止ラベル付きのプラスチック製クラムシェルへ移行している。Notebookcheckは、この変更が本物のDRAMを識別しやすくし、返品詐欺を減らす狙いだと報じた。
第一に価格だ。メモリだけで予算が大きく変わると、GPU、CPU、SSDの選び方にも響く。Tom’s Hardwareの米国小売報道は、32GB DDR5キットが359.99ドル、安いキットが秒単位で売り切れ、極端なマーケットプレイス出品が4000ドルに達するという不安定さを示している。
これは米国市場の例であり、日本の実売価格そのものではない。それでも、入荷と価格が短時間で動く局面では、数週間前の見積もりがすぐ古くなる。
2026年のメモリ市場に関する報道では、高値が一般ユーザーにアップグレード延期や少ない容量での妥協を迫っているとされる。64GBで組むつもりだった人が32GBに落とす、次世代環境への移行を待つ、あるいはGPUやSSDの予算を削る、といった判断が起こりやすくなる。
安いDDR5リストを見るとき、以前なら速度、レイテンシ、相性、保証を比較すればよかった。今はそこに「これは本当にDDR5か」「偽物だったとき返品できるか」という確認が加わる。返品不可のオークション出品、DDR4をDDR5に見せる手口、密封風パッケージに古いRAMが入っていた事例は、その警戒が必要な理由を示している。
ヒートスプレッダでチップが隠れている以上、外観だけで完璧に見抜く方法はない。それでも、報じられた事例から実践的な予防策は見えてくる。