さらに驚くのは内訳です。
つまり、Nvidiaのビジネスの大半は現在、AIサーバー向けGPUになっています。
Microsoft、Amazon、その他の「ハイパースケーラー」と呼ばれる巨大クラウド企業が、AIモデルの学習や推論のために巨大なデータセンターを建設しているためです。
1つのAIクラスターには数千個のGPUが必要になることもあり、需要は急激に膨らんでいます。
AIの拡大は、TSMCの顧客構造も大きく変えました。
2025年、Nvidiaは長年トップだったAppleを抜き、TSMC最大の顧客になりました。
これは半導体業界にとって象徴的な変化です。
長年、最先端半導体の主役はスマートフォンでした。しかし今ではAIプロセッサーが先端製造の最大の需要源になりつつあります。
ただし、この関係はNvidiaにとって強みであると同時にリスクでもあります。
もしTSMCが十分な生産能力を確保できなければ、需要がいくらあってもNvidiaは出荷できないからです。
フアンはAI需要が半導体サプライチェーンを何年も圧迫する可能性を公然と語っています。
彼は、将来的には
TSMCの製造能力が今後10年で2倍以上になる可能性があるとも述べています。
その背景には、Nvidiaの次世代AIチップがあります。
これらのアーキテクチャは最先端の製造プロセスと高度なパッケージングを必要とするため、生産枠の早期確保が極めて重要です。
しかも競争相手も増えています。
すべてが同じTSMCの生産ラインを狙っています。
Nvidiaの焦りの裏には、もっと大きな経済トレンドがあります。
それが世界的なAIインフラ投資競争です。
フアンは、AIインフラへの投資が将来的に
約3兆〜4兆ドル規模に達する可能性があると見ています。
彼の言葉では、未来のデータセンターは単なるサーバー施設ではなく、
「AIファクトリー」
になります。
電力とコンピューティングを投入すると、
といった価値を生み出す「工場」になるという考え方です。
もしこのビジョンが現実になれば、高性能GPUの需要は長期的に続く可能性があります。
現在のNvidiaは、同時に2つの競争に直面しています。
前者ではNvidiaが大きくリードしています。
しかし後者、つまり半導体製造能力の確保こそが、今後の成長速度を決めるかもしれません。
だからこそ、ジェンスン・フアンの台湾訪問は単なるビジネス出張ではありません。
AI時代において世界で最も価値の高いテクノロジー企業の一つであっても、最終的には**「チップを作れる工場の数」**に依存しているのです。