市場が注目するのは、アンソロピックのIPOでいくらの評価額が付くかだけではありません。上場後も投資家の買いが続くのか、それとも初値を境に売りが優勢になるのか——その反応が、AI関連株への信頼を測る材料になり得ます。HSBCのマックス・ケトナー氏は、同社の上場が米中間選挙よりも市場に大きな影響を与える可能性があると指摘しています。
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選挙よりIPOが注目される理由
ケトナー氏は木曜日の株価急落が起きる2週間前に、株式の投資判断を「最大オーバーウェイト」から「中立」へ引き下げていました。企業が設備投資をどう進めるかにかかわらず、テクノロジー株をめぐる市場の見方が悪化していると考えたためです。
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同氏はまた、選挙前に投資家がほとんどリスクヘッジをしていなかったことから、米中間選挙を経ても市場の不安がどれほど解消されたのかは見極めにくいとしています。
38 これに対し、アンソロピックのIPOは、AI企業に対して投資家がどれだけの評価額を受け入れ、実際に株を買うのかが見えるイベントです。ブルームバーグによると、ケトナー氏は市場の安定が同社のIPOに左右される可能性に言及しました。
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もちろん、IPO一件でAI株をめぐる議論に決着がつくわけではありません。上場が不調ならAI関連株への疑念が強まる可能性があり、反対に上場後も需要が続けば、投資家心理を下支えすることも考えられます。いずれも市場がどう受け止めるかという見立てであり、結果が決まっているわけではありません。
「AIの成長物語」そのものが崩れたとは限らない
ケトナー氏は、今回の株価下落だけでAIをめぐる投資の基本的な見方が変わったとは言えないと述べています。値動きの背景には、投資家の持ち高調整や、損失を抑えるための売却がある可能性を指摘しています。
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この見方なら、慎重な市場姿勢とIPOへの期待は両立します。売りがAI企業の事業そのものへの評価低下ではなく、投資家のポジション整理によるものなら、上場後も買いが続くIPOが信頼回復のきっかけになるかもしれません。ただし、売りの主因が機械的な要因だけだと確認されたわけではなく、IPOが成功すれば相場の変動が収まると決まったわけでもありません。
IPOの評価額予想は下方修正
ブルームバーグによると、正式なIPOマーケティングを前に、投資家の間ではアンソロピックの評価額として1.2兆〜1.3兆ドルが話題になっていました。
1 これは、以前に投資家が引受銀行に伝えていた1.4兆〜1.5兆ドルを下回ります。
5 一部の買い手は、1.1兆ドル程度の評価も検討していると報じられました。
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ここで挙げた金額は投資家側の予想であり、確定したIPO価格や正式な企業評価額ではありません。アンソロピックが提出した登録届出書でも、株式の価格帯はまだ決まっていないとされています。
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ケトナー氏は、IPOで市場の買い手が納得しやすい水準として、1.5兆ドルではなく1兆ドル前後を挙げたと報じられています。また、上場後の最初の1週間で株価が20〜30%下落する事態は望ましくないとの見方も示しました。
38 参考までに、アンソロピックは以前、9650億ドルの評価を受けていました。
34 ただし、過去の評価額と現在の予想は、IPOの最終的な価格を確定させるものではありません。
初日の値付けより、上場後の値動き
IPOの評価額が高ければ話題を集めやすい一方、上場後の株価は、その価格で投資家が買い続けるかを示します。ケトナー氏が初週の大幅下落を警戒するのは、見出しになる評価額だけでなく、取引開始後に需要が続くかどうかが重要だからです。
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今回のIPOはまだ計画段階です。アンソロピックの届出書では、売り出す株数も価格帯も決まっていません。
46 したがって、報じられている評価額の幅は、現時点では交渉や投資家の見込みとして捉える必要があります。
ケトナー氏の見立てで問われているのは、アンソロピック一社の値付けだけではありません。IPO後も買いが続けば、AIへの期待はなお根強いという見方を支える可能性があります。一方、上場が振るわなければ、AI関連株全体の評価に対する警戒が広がることもあり得ます。アンソロピックのIPOは市場の重要な試験にはなりそうですが、それだけで答えが出るわけではありません。