ビットコイン(BTC)は8月後半に8万ドルを超え、2024年11月以来で最も強い月間上昇となった。それでもフィデリティ・デジタル・アセッツは、相場が明確に底を打ったとは結論づけていない。
同社の見方は弱気一辺倒ではない。価格推移には安定化の兆しがあるものの、一度の急反発だけでは、より大きな下降トレンドが終わったとは確認できない、という慎重な立場だ。
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大幅上昇だけでは不十分な理由
ビットコインは8月第3週に25%超上昇し、イーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)も値を伸ばした。上昇が市場全体に広がった点は好材料だが、最初の流動性増加やリスク選好の高まりが過ぎた後にも買い需要が続くかどうかは、なお不透明である。フィデリティは、価格上昇後も「弱気相場が終わった保証はない」としている。
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この上昇の前には、6月から7月にかけておおむね6万5,000ドル未満で低調な取引が続いた。静かで弱い相場から急な上放れへ移る局面は回復の始まりになり得る一方、下降局面の途中で起こる一時的な反発である可能性もある。見分ける鍵は、今後の売りや悪材料を受けてもビットコインが耐え、安値更新が長く続く状態へ戻らないかにある。
8月中旬の上昇は、米財務省による国債買い戻しの拡大と時期が重なったと報じられた。これは広範なリスク資産への投資心理を支えた可能性があるが、暗号資産サイクルの本格反転を示す証拠とみなすべきではない。マクロ環境からの追い風は価格を押し上げ得るが、買い手と売り手の長期的な需給均衡まで決めるわけではない。
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4年サイクルは「枠組み」であって予言ではない
フィデリティによれば、ビットコインの主な弱気相場の底と強気相場の高値は、歴史的におよそ4年の間隔で訪れることが多かった。直近の弱気相場の底は2022年11月だったため、この過去パターンを単純に延長すれば、次の底は2026年11月ごろになる可能性がある。
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ただし同社は、このパターンが正確に4年ごとに繰り返されたことはないと明確に注意を促す。したがって、想定できるシナリオは少なくとも2つある。
- 2026年7月が底だった可能性:8月後半の上放れが、持続的な回復局面の始まりになる。
- 底打ちが完了していない可能性:過去のリズムが再び意識されたり、マクロ環境が悪化したりすれば、2026年11月ごろ、あるいはそれ以降に以前の安値を試す、または下回る展開もあり得る。
重要なのは、サイクルの時期を売買のカレンダーとして扱わないことだ。過去の間隔はリスクを考える参考にはなるが、最終的な安値を事前に正確に特定するものではない。
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フィデリティが前向きにみる市場の変化
同社が比較的建設的に評価するのは、価格の動き方の順序だ。6月から8月中旬にかけてデジタル資産のボラティリティは比較的低く、フィデリティのクリス・カイパー氏は、この期間には売り手が疲弊したように見えたと述べる。その後、市場は8月後半に上放れした。
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持続的な底は、1回の劇的な値動きではなく、相場の安定化を経て形成されることが多い。フィデリティが重視するのは、次のような実務的な兆候である。
- 売りが出ても新安値をつけにくくなること
- 静かな持ち合いの後に買い手が戻ること
- 悪材料が出ても相場が崩れにくいこと
- 上放れがすぐに反転せず、維持されること
低ボラティリティ自体は強気材料ではない。しかし、低ボラティリティの後に上昇が起こり、さらにストレス局面でも価格が底堅さを見せるなら、その意味合いは大きくなる。
米国の規制は需要の次の局面を左右し得る
米国の規制動向は、同国の暗号資産市場にとって短期的な材料であると同時にリスクでもある。米上院では9月15日、「デジタル資産市場CLARITY法案(Digital Asset Market CLARITY Act)」の審議入り動議に対するクロージャー投票が予定されていた。
これは法案の最終可決ではなく手続き上の投票であり、60票を得られれば上院本会議での審議・討論に進む道が開ける。
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同法案は、デジタル資産市場に関するより包括的な枠組みを設け、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の監督範囲をより明確にすることを目指している。前進すれば、取引所、発行体、機関投資家にとっての不確実性を低減する可能性がある。反対に、否決や遅延は暗号資産市場を止めるものではないが、米国でどのように規制されるのかという不透明感を長引かせる可能性がある。
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もっとも、政策の前進を自動的な価格上昇材料と混同すべきではない。制度整備が進んでもビットコインの回復は保証されない。ただ、より明確なルールは中長期的に市場参加者の事業環境を改善し得る一方、後退は変動性を高める要因になり得る。
普及の進展は長期材料だが、価格の下値を保証しない
価格チャートだけで見える以上に、長期的なインフラ面の変化は進んでいる。Bitwiseの比較として報じられた数字では、ステーブルコインの決済額はVisaが処理した額の2.3倍に達したとされ、トークン化資産の活動も拡大している。
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ただし、この比較には注意が必要だ。ブロックチェーン上の総決済額は、日常の消費者決済での普及度と同義ではない。Visaの推計では、2025年に米国のキャッシュレス決済に占める小口のステーブルコイン取引額は約0.1%にとどまり、調整後ステーブルコイン取引額に占める割合も約0.6%だった。
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現実世界資産(RWA)のトークン化も、まだ小さい基盤から伸びている。CoinGeckoによると、トークン化RWAの時価総額は2025年初の54億2,000万ドルから、2026年3月31日には193億2,000万ドルへ増加した。
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こうした動きは、ブロックチェーンを使った決済やトークン化の実用性が増しているという長期的な見方を支える。一方で、ビットコインの短期的な下値を保証するものではない。
強気シナリオをより確かなものにする条件
フィデリティの立場は、慎重ながらも建設的と整理できる。8月の上放れ、それに先立つ静かな相場、そして売り手の疲弊を示す兆候は、底打ちのプロセスを注視する理由になる。
ただし同社は、新安値が必ず来ると言っているのではない。新安値の可能性を排除するには、まだ証拠が十分ではないと言っている。
回復シナリオの説得力を高めるには、急騰後も価格の強さが続くこと、マクロや規制面の悪材料に対して相場が耐えること、そして暗号資産市場全体で参加が広がることが求められる。現時点でのビットコイン8万ドル超えは、市場の振る舞いにおける重要な改善ではある。しかし、弱気相場への最終判断ではない。
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