実際、足元の決算データはこの見方を裏付けています。
欧州企業の利益は約3年ぶりの速いペースで成長する見通しとされ、LSEGの集計では2026年1Qの利益は前年同期比で約10.2%増になると予測されています。
この利益拡大の中心となっているのが次の2つのセクターです。
エネルギー
中東情勢の緊張による原油・ガス価格の上昇が、欧州の石油・ガス企業の収益を押し上げています。
金融(銀行)
金利上昇は銀行の貸出利ざやを広げやすく、銀行収益の追い風になる傾向があります。
この2つの分野が欧州株指数全体の利益成長を強く押し上げています。
シティのグローバル株式戦略では、企業利益の見通しが維持されれば世界株式にはなお約5%程度の上昇余地があるとの見方も示されています。
この見方のポイントは、株価上昇の原動力が「バリュエーション拡大」ではなく企業利益の成長にあるという点です。
つまり、金利が高止まりしても、利益が伸び続けるなら株価は上昇余地を持ちうるという構図です。
現在の債券売りの背景には、地政学リスクとインフレ懸念があります。
特に中東で続く紛争によりエネルギー価格が上昇し、世界的なインフレ期待が高まったことが国債利回り上昇の一因とされています。
債券価格が下落すると利回りは上昇し、結果として企業や政府の資金調達コストも上がります。これが通常は株式市場にとって逆風になります。
とはいえ、欧州株の強さには注意点もあります。
現在の利益成長はエネルギーと金融という限られたセクターに集中しているためです。
実際、エネルギーを除いた場合、欧州企業の利益成長はかなり弱くなるという分析もあります。
このような「狭いリーダーシップ」の相場では、次のようなリスクがあります。
・原油価格が下落する
・銀行収益が鈍化する
こうした変化が起きれば、株式市場全体の支えが弱まる可能性があります。
現在の欧州市場は、投資の基本的な綱引きを示しています。
・金利上昇 → 株式にはマイナス
・利益成長 → 株式にはプラス
今のところは企業利益の改善が市場を支えています。しかし、このバランスが維持されるかどうかは、利益成長が今後どれだけ持続し、さらに多くのセクターへ広がるかにかかっています。
もし利益拡大が続けば、利回り上昇の環境でも欧州株は底堅く推移する可能性があります。逆に利益成長が失速すれば、債券市場の圧力が株式市場にも本格的に波及する可能性があります。