2026年8月5日、Binance関連企業——Nest Trading Ltd.、Distributed Technologies Ltd.、Chaintecs Consulting Singapore Pte——の3社は、香港裁判所にRedotPayの3人の共同創業者(Michael Gao(張鵬)、Jonathan Lo(陳華才)、Yao Chao(翁時偉))を相手取り訴訟を提起した。
Binance側の主張: 原告側は、RedotPayが「不正なスキーム」を組織し、2025年に締結された商業契約に違反して、47万人超のユーザーをBinance CardおよびBinance PayからRedotPayの競合カード製品に秘密裏に誘導したと主張している。また、RedotPayが契約外の条件でBinance Payの資金を自社のカードチャージに不正に利用したこと、誘導されたユーザー基盤がIPOに向けたRedotPayの評価額向上に重要な役割を果たしたと指摘する
。さらに、約3.04億ドルのBinance Payユーザー資金が適切な分別管理なしにRedotPayのエコシステムに流れ込んだとも主張している
。
RedotPay側の反論: 同社は2026年8月5日に公式声明を発表し、「本訴訟は日々の業務運営に影響を及ぼさない」とし、「すべての主張に対して断固として防御する」と述べている。訴訟係属中のため、これ以上のコメントは控えている
。
関連手続き: 並行して、シンガポールでも同様の訴訟手続きが進行中と報じられている。Binanceは同事案を取り下げたとする一部の報道を否定している。香港での裁判所審問は2026年8月7日に予定されていた
。
訴訟提起から間もない2026年8月11日——IPO延期報道の約3週間前——RedotPayは、Chen Li氏を新たなゼネラルカウンセル(General Counsel)に迎えたことを発表した。同社のLinkedInでの発表によれば、Chen氏は20年以上の職務経験を持ち、テクノロジー、デジタルファイナンス、およびアジア太平洋地域における複雑なクロスボーダー法務において卓越した実績を有する。直近では、マイクロソフトに13年以上在籍し、アジア地域の戦略的パートナーシップ責任者を務めていた
。この採用は、前ヘッド・オブ・リーガルであるJonathan Tsang氏が2026年7月21日付で退任した直後に行われた
。RedotPayは同時期に、コマーシャルカウンセルやベンチャー向けリーガルスペシャリストなど、法務チームの複数のポジションを募集しており、法務・コンプライアンス機能の強化を進めていることを示している
。
法的・規制上の逆風にもかかわらず、RedotPayは力強い成長を続けている。以下が直近の公表データに基づく主要指標である。
2026年第2四半期の投資家向けアップデートでは、ユーザー数、収益、利益、利益率の全てで過去最高を記録したと報告されているが、具体的な数値は非公開としている。一部の業界関係者は、2026年半ばまでにユーザー数が1000万人を超え、評価額が20億ドルに達している可能性があると指摘するが、RedotPayは公式にこれらの数字を確認していない
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RedotPayのケースは、ステーブルコイン決済企業が直面するジレンマを浮き彫りにしている。急成長し、優良なベンチャーキャピタルから多額の資金を調達しながらも、規制の断片化や訴訟リスクに常にさらされているのだ。特にBinanceによる訴訟は、創業者個人を直接の被告とし、約5億ドル近い損害賠償を請求している点で異例であり、もしBinanceの主張が認められれば、暗号資産取引所とその決済パートナー間の競争構造を一変させる可能性がある。
現時点で、RedotPayはアルゼンチンのVASP(仮想資産サービスプロバイダー)ライセンス、米国とカナダのMSB(マネーサービスビジネス)登録を保持し、グローバル展開を継続している。同社がいかにしてBinance訴訟を解決し、必要な規制承認を取得し、最終的に米国市場への上場を果たすかは、暗号資産金融エコシステム全体から注目されている。