EU加盟国の大使級代表は、9月22日深夜の期限までに合意を完了できなかった。ロシア関連の個人・団体を対象とするEU制裁の更新には全加盟国の賛成が必要であり、ラトビアが、著名な実業家2人を制裁リストから外す妥協案を受け入れなかったためだ。
この案は、約3,000人・団体への制限措置を異例の3年間延長する一方で、ラトビアは2人の指定解除を対ロ圧力の容認できない後退と捉えた。
14
18
テーブルに載っていた妥協案
提案は、次の2点を組み合わせたものだった。
- アリシェル・ウスマノフ氏とミハイル・フリードマン氏を制裁リストから外す。 両氏に適用されていた資産凍結とEU域内への渡航禁止は終了する。
- 残る個人・団体の指定を36か月更新する。 通常より大幅に長い更新期間を設定し、次の包括的な更新協議を2029年まで先送りする狙いだった。
3
14
外交官レベルでは暫定的な理解に達していたが、最終化には全加盟国の承認が必要だった。ラトビアが承認を留保したことで、パッケージは成立しなかった。
18
24
フランス、スロバキア、ルクセンブルクが指定解除を支持した背景
指定解除を求めた各国が、必ずしも同じ動機で動いていたわけではない。
スロバキアは当初の行き詰まりの中心にあり、ウスマノフ氏の解除を求めていた。報道では、最終的な妥協の一環としてフリードマン氏の解除も求めていたとされる。
3
13
フランスは、アゼルバイジャンで拘束されているフランス国民の解放につながる可能性があるとして、ウスマノフ氏の解除を求めたと報じられた。この結び付きは複数の報道で伝えられているが、アゼルバイジャン側が正式な条件として示したことが独自に確認されたわけではなく、あくまで報じられた外交上の連関として扱う必要がある。
2
12
14
ルクセンブルクは、ウスマノフ氏を外すならフリードマン氏も外すべきだと主張した。報道は、凍結資産を巡るフリードマン氏のルクセンブルクに対する約160億ドルの仲裁請求と同国の立場を関連付けたが、これがルクセンブルクの決定的な動機だったとまでは確認されていない。
1
3
ラトビアの反対が決定打になった理由
EUの個人制裁は27加盟国すべての合意を要する。したがってラトビアは、最後の障害となった。同国は、2人の指定解除と引き換えに更新期間を長期化する取引は、EUの制裁政策を弱めると判断した。
ラトビアのバイバ・ブラジェ外相は、制裁は「弱めるのではなく、強化すべきだ」との立場を示したと報じられている。
14
この一件は、全会一致に基づく制裁更新の弱点を浮き彫りにした。幅広いパッケージに支持があっても、取引の一要素に異議を唱える国が1つあれば、全体を止められる。
深夜の期限で何が懸かっていたのか
直接の焦点は、ロシア関連の約3,000人・団体に対するEUの個人制裁リストだった。対象には資産凍結と渡航禁止が課されている。すでに9月15日の時点で合意に至らず、期限は9月22日までの7日間、技術的に延長されていた。
14
16
全会一致の承認と必要な法的手続きが期限内に完了しなければ、これらの指定は失効するリスクがあった。つまり争点は2人の扱いにとどまらない。ウスマノフ氏とフリードマン氏を巡る対立が、広範な個人指定制度の法的な継続を危うくしていた。
14
18
ただし、これはEUの対ロ措置すべてが消えることを意味しない。今回の更新とは別枠である分野別の経済制裁は影響を受けない。
14
再協議を前にした反応
EUの外交安全保障上級代表であるカヤ・カラス氏は、加盟国に制裁維持を求め、速やかな更新合意に向けて作業していると述べた。協議が続くなかでも、制裁制度の安定性を保つ必要があると強調した。
20
30
ウクライナのセルヒー・コレツキー首相は、EUに制裁緩和をしないよう訴えた。ウクライナが攻撃を受け続けるなかで、ロシアの戦争を支える人々を友人のように扱うべきではない、という趣旨だ。
39
リトアニアのケーストゥティス・ブドリス外相も、ロシアおよびクレムリンの侵略を可能にする者への圧力を強めるべきだと公に主張した。ただし、この発言は追加の対ロ措置を巡る文脈でのものであり、ウスマノフ氏・フリードマン氏の妥協案に特化した発言として確認されているわけではない。
41
予定された22日朝の協議は、2人の指定解除を巡る対立だけでなく、更新のたびに全会一致の政治合意を必要とする主要制裁リストを、いかに維持するかという制度上の問題も解決しようとする場だった。
14