新興国株は、米国株に対して2006年以降で最大の評価割引となっています。ただし、株価が大きく下がったから割安になったわけではありません。AI向け半導体やハードウェアを供給する企業を中心に利益予想が急上昇し、株価の伸びを上回っていることが、評価差を広げる一因です。
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新興国株は米国株より約53%割安
MSCI新興国株指数の今後12カ月の予想PERは約8.96倍。一方、米国の代表的な株価指数であるS&P 500は約19倍です。
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8.96を19で割ると約47%。つまり新興国株の倍率は米国株の約47%で、割引率に直すと約53%です。Bloombergによると、この差は同社がデータを集計し始めた2006年以降で最大となりました。
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予想PERは、株価を今後の予想利益と比べる指標です。株価が上がっていても、予想利益がそれ以上の速さで増えればPERは低下します。報道によると、新興国株は年初来で約15%上昇し、米国株を約3ポイント上回っていました。上昇相場のなかで評価倍率が下がることは、利益予想の伸びが株価の伸びを上回れば起こり得ます。
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AI投資が押し上げる利益予想
背景にあるのは、AIインフラへの投資です。米国のクラウド・テクノロジー企業がAI関連設備への支出を増やすなか、新興国の企業は半導体や部品、ハードウェアなどを供給しています。米国企業の投資が、サプライヤー側の売上や利益への期待につながっています。
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新興国企業全体の予想利益は70%上方修正されたと報じられています。ただし、地域別ではアジアが87%、中南米が28%、新興欧州・中東・アフリカが8.6%と差があります。新興国市場全体で一様に利益見通しが改善しているというより、アジアの上方修正が特に大きい状況です。
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「割安」は、必ず上がるという意味ではない
低い予想PERは、投資機会の可能性を示す一つの手がかりです。しかし、計算の分母となる利益はあくまで予想です。企業が予想どおりに利益を伸ばせなければ、見かけ上の割安感は薄れるかもしれません。反対に、利益成長が続けば、現在の株価が後から見て魅力的だったと評価される可能性もあります。いずれも、現在のPERだけでは確定できません。
また、「新興国株」という大きなくくりでは、AI関連のアジア企業に利益成長が偏っている点が見えにくくなります。投資を検討する際は、指数全体の倍率だけでなく、利益増加を支える需要が続いているか、成長がどの地域や業種に集中しているかも確認したいところです。
長期投資家にとっての要点は、新興国株が米国株に比べて異例の割安水準にある一方、利益への期待も非常に強いということです。予想が実現すれば上昇余地につながる可能性はありますが、割引率が縮小することや、将来のリターンが約束されていることを意味するわけではありません。