VIPリストはまるでクロスオーバー特番のようだった。人気ストリーマーのIShowSpeed、バックストリート・ボーイズのAJマクリーン、ブラジルの至宝ロナウド・ナザーリオ(R9)、パリ・サンジェルマンの会長も観戦に訪れていた 。
ネイマールを欠くブラジルには新たなヒーローが必要だったが、その役をヴィニシウス・ジュニオールが果たした。11分、モロッコのイスマエル・サイバリが5度の優勝を誇るブラジルから先制点を奪い、場内を驚かせた直後、25歳のレアル・マドリードFWが32分に強烈な同点弾を叩き込んだのだ 。
このシュート、彼にとって今大会初ゴールとなった一撃は、ブラジルを後押しする大観衆を熱狂の渦に巻き込んだ。その衝撃は、ハイレベルなリアクションを呼ぶのに十分だった。トラヴィス・スコットがスタンドで熱狂的に喜ぶ姿が捉えられ、この瞬間は瞬く間にソーシャルメディア上で拡散された 。1-1のまま試合終了。スコットランドとハイチも同居するグループCにおいて、両チームにとってまずまずのスタートとなる結果だ
。
試合前の最大の話題は、ブラジル代表の歴代最多得点者の状態だった。ネイマールは5月28日、正式にグレード2のふくらはぎ負傷と診断され、チームドクターのロドリゴ・ラスマル医師は当初、2~3週間の離脱を見込み、開幕戦欠場を示唆していた 。
カルロ・アンチェロッティ監督の信頼は揺るがなかった。34歳のエースをメンバーから外すことは一切拒否した。「誰一人入れ替えたりしない。選んだのはこの選手たちで、私は計画を変えない」と、アンチェロッティ監督は5月下旬に語っている 。開幕戦が近づくにつれ、彼のコメントはより具体的になった。6月5日には、ネイマールが個別の調整プログラムに取り組んでいると説明。そして6月12日には、ブラジルのグループステージ第2戦での復帰を目標に「来週には回復してチームに合流できると期待している」と明言した
。
公式発表された入場者数8万663人は、サッカー仕様時で約8万2500人収容のメットライフ・スタジアムをほぼ満席にし、今大会で3番目に大きな会場であることを証明した 。この試合は単に完売しただけではない。記録を打ち立てたのだ。一般発売開始から数時間でチケットは完売。FIFAは、この試合のチケット需要が現時点でW杯全試合中最高を記録し、1万席を超えるラグジュアリースイートも完売したと発表した
。
この試合は、ニューヨーク市当局が主導する大規模なアクセシビリティ向上策の幕開けでもあった。マムダニ市長は、ニューヨーク市民限定で、メットライフ・スタジアムまでの往復送迎付き50ドル(約7000円)の補助チケット1000枚を提供するプログラムを発表。この発表は、ニューヨークのアフリカ系サッカーファンコミュニティの中心地とされるハーレムのリトル・セネガル地区で行われた 。
会場に足を運べない人々のために、マムダニ市長とホークル知事は、市内5つの行政区全てに無料のファンゾーンを設置することも発表した 。中でも最も壮大な構想が、7月19日のW杯決勝戦のパブリックビューイングをセントラルパークのグレートローンで開催するというもの。ここでは、最大5万人のファンを無料で受け入れる予定だ
。ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターに設けられるクイーンズ・ファンゾーンも、大会期間中無料で開放され、ライブ中継の上映や文化イベントが楽しめる
。
このグループCの一戦は、勝ち点3以上の意味を持っていた。それはメットライフ・スタジアムにとって初めてのW杯開催であり、ニューヨーク市とニュージャージー州イーストラザフォード間で数万人の観客を輸送するために練られた複雑な交通計画の、初めての実地テストだった。この会場ではW杯決勝戦も予定されており、輸送手段に注目が集まった。中でもシャトルバスの運賃は、ファンの抗議を受けて80ドル(約1万1200円)から20ドル(約2800円)へと大幅に値下げされるという騒動もあった 。
この夜の結果はスコアこそ引き分けだったが、イベントそのものは明らかな成功を収めた。スターが集い、スーパースターのゴールが生まれ、そしてこの舞台は、大会の最も重要な瞬間を迎える準備が整ったことを示してみせた。