報道で最も明確に示されている条件は、ビットコインが特定の価格まで下がることではない。CEOのPhong Le氏の発言を伝える複数の報道によれば、鍵になるのは「mNAVが1を下回ること」と「新たな資本調達ができないこと」の2つが重なる局面だ。
mNAVは、ざっくり言えば市場が同社を純資産価値(NAV)に対して何倍で評価しているかを見る指標だ。これが1を下回ると、株式市場での評価が純資産価値を下回っていることになる。その状態で普通株を発行して資金を集めると、既存株主にとって不利になりやすい。Le氏は、mNAVが1未満で資金調達の選択肢も消えた場合、1株当たりのビットコイン利回りを守るためにBTC売却が「数学的に」正当化され得る、という趣旨で説明したと報じられている。
逆に言えば、資本市場から資金を調達できる限り、BTCを売る動機は弱い。Strategyの2026年第1四半期決算説明会では、同社が2026年に入ってから約117億ドルの資本を調達したとされており、同社の戦略にとって資本市場へのアクセスがいかに重要かがうかがえる。
なかでも優先株配当は最も明示的なケースだ。Bitcoin.comは、Michael Saylor氏が優先株配当の支払いに充てるため、Strategyが一部のBTCを売却する可能性を示したと報じた。またMarketBeatの決算説明会要約でも、経営陣が配当資金の確保、ドル準備の構築、税務上のメリット獲得のために、戦術的にビットコインを売却する可能性に触れたとされている。ただし、同時に1株当たりビットコインを増やすという目標は維持されている
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債務も同じく、売却を現実的にし得る要因だ。市場予測に関する報道では、Le氏が、債務履行のために本当に必要になればBTCを売却し得ると述べたとされる。一方で、Strategyはこれまで資産売却よりも借り換えや新規資本調達を使うことが多かったとも説明されている。
BTC価格の下落は、もちろん状況を悪化させる。だが、報道されている売却シナリオは「BTCが何ドルになったら自動的に売る」という単純な価格ルールではない。価格下落がmNAVを1未満に押し下げ、資本調達を難しくし、さらに配当や債務などの支払いと重なったときに、売却の現実味が増すという構図だ。
つまり、見るべきはビットコイン価格だけではない。Strategy株が純資産価値に対してどの水準で取引されているか、同社が外部資金を調達できるか、近い時期にどれだけドル資金が必要か。この3点が同時に悪化するかどうかが重要になる。
Strategyが自発的にBTCを売る場合、それは必ずしもマージンコールを意味しない。予測市場Polymarketのイベントルールでは、マージンコールは、ビットコイン担保の価値が必要なローン・トゥ・バリュー(LTV)水準を下回ったために、貸し手が追加担保や一部返済を正式に求めることと定義されている。自発的なビットコイン売却は、この定義には含まれない。
またMEXCは、Cantor FitzgeraldがCNBCに対し、現在の条件下でStrategyの債務にはマージンコール条項がないと述べたと報じている。この報道を前提にすれば、主なリスクは「貸し手に自動的に清算されること」よりも、ストレスのかかった市場で、株主価値を損なわずにドル資金を調達できるかどうかにある
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本質的に変わったのは、ビットコインを保有する戦略そのものというより、経営陣の選択肢だ。Strategyの方針は長く「売らない」と要約されてきた。新しい姿勢では、ビットコインを中心に据える点は変えず、売却が1株当たりBTCにプラスである場合、必要な支払いを賄う場合、またはバランスシートのリスクを下げる場合に、保有BTCを使う余地を認めている
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売却の確率が高まるとすれば、次のようなサインがいくつも重なる局面だ。