最大のサプライズは、サムスン電子が39%のシェアで首位を奪還したことです。一方、前年同期に市場をリードしたSKハイニックスは、売上高こそ前年比214%増と好調でしたが、シェアは39%から26%へと急落。そして、中国の新興メモリメーカー、長鑫存儲(CXMT)が売上高716%増という驚異的な成長を遂げ、7%のグローバルシェアを獲得したのです 。
この激変の背景には、ある「構図の変化」がありました。
カギを握ったのは、「コモディティDRAM」と呼ばれる汎用メモリへの需要回帰です。
サムスン電子は、サーバーやPC向けの標準的なDRAM(DDR4やDDR5)で強みを発揮しました。この分野の価格が高騰する中、サムスンの商品構成が市場の流れにマッチしたのです 。韓国メディアも「サムスンがコモディティ分野で圧倒的な支配力を示した」と報じています 。
対照的に、SKハイニックスは、当初は大きなアドバンテージとなった「HBM(High Bandwidth Memory)」への過度な依存が足かせとなりました。HBMはAIアクセラレーターに搭載される超高速メモリで、この分野ではSKハイニックスが市場をリードしています。しかし、この四半期はHBMの価格が頭打ちとなった一方、コモディティDRAMの価格が急騰。販売ミックスが逆風となり、シェアを大きく落とす結果となりました 。
3位の米マイクロン・テクノロジーは、25%のシェアを獲得。SKハイニックスとの差をわずか1ポイントにまで縮めました 。両者の差がここまで接近するのは近年記憶にありません。韓国メディアは、「米国のライバルが韓国メモリ産業に圧力をかけている」と警戒感を強めています 。
今四半期最大のトピックは、何と言っても中国CXMTの急成長でしょう。売上高は前年同期比716%増と、世界最速の成長を遂げました。その原動力は、中国国内のハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)やスマートフォンメーカーからの旺盛な需要です。特に、騰訊控股(テンセント)からは29億4千万ドル(約4400億円)の大型DRAM受注を獲得し、上海証券取引所の科創板(STAR Market)への上場を目前に控えています 。
CXMTの次の一手は、次世代モバイル向けメモリ「LPDDR6」です。同社は、12.8Gbps動作の16Gb LPDDR6メモリの研究開発検証を事実上完了し、2026年下半期の量産開始を目指しています 。この速度は、SKハイニックスの最先端EUV 1cプロセスが達成する14.4Gbpsには約11%及ばないものの、従来の露光装置(DUV)を用いた制約下でここまで来たことは、技術力の飛躍的な向上を示しています 。
既に主要顧客へのサンプル出荷を開始しており、Xiaomi(シャオミ)やTranssion(伝音控股)、Honor(ファーウェイから独立したブランド)など、多くの中国スマホメーカーに採用が広がっています。さらには、Appleが中国市場向け製品でCXMTのDRAMを評価しているとの情報もあります 。
これらすべての変動の背後にある構造的な推進力は、AIインフラへの投資です。AIサーバーやデータセンターの建設ラッシュが、DRAM工場の稼働率を限界まで押し上げています 。
HBMの生産は、総DRAMウェハー容量のうちますます大きな割合を占めるようになっています。TrendForceの予測では、2027年末までにHBMが全DRAMウェハー投入量の30%を占め、需要を満たせる供給量はわずか60%になると見込まれています 。UBSも、DRAMの需給バランスが均衡するのは2028年第2四半期までないと分析しています 。
この影響は、私たち消費者の財布にも直撃しています。従来型DRAMの契約価格は、第1四半期に過去最高の前期比90~95%上昇を記録した後、第2四半期も58~63%の上昇を続けました 。象徴的なのは、ベンチマークであるDDR4 8Gbチップの価格です。2026年5月には1個あたり20ドルと、DRAMeXchangeが追跡を開始した2016年以来の最高値を更新しました 。
市場の変動性は収まるどころか高まっており、ある主要サプライヤーは顧客に対し、2026年末まで月額10~20%の値上がりが続く可能性があると警告しています 。
| 企業 | シェア | 主な要因 |
|---|---|---|
| サムスン電子 | 39% | コモディティDRAMの強みで首位奪還 |
| SKハイニックス | 26% | HBMでリードするも、DRAM市況変化でシェア低下 |
| マイクロン | 25% | SKハイニックスとの差を1ポイントに縮める |
| CXMT | 7% | 売上高716%増、LPDDR6量産間近 |
注:SKハイニックスのシェアについて、一部の初期レポートでは26%と29%(前期比)の両方の数値が見られますが、韓国、米国、中国の各メディアのコンセンサスは、2026年第2四半期のシェアはサムスン39%、SKハイニックス26%、マイクロン25%、CXMT 7%です 。