しかし、レース展開は決して楽なものではなかった。スタート直後、チームメイトのオスカー・ピアストリに先行を許し、首位の座を明け渡してしまう。だがノリスは2度目のピットストップ後に見事なペースを取り戻し、再びトップに浮上。その後、ピアストリがレース終了14周を前にギアボックスのトラブルで痛恨のリタイアを喫し、確実視されていたマクラーレンの1-2フィニッシュは幻となった。
ノリスはマシンの感触について「本当に美しいマシンだった」と語り、自身のペースは「おそらく過去最高」だったと振り返っている。
最終的なトップ3は以下の通り。
この勝利により、2026年シーズンは直近5戦で5人目の異なる勝者が誕生するという混戦模様となっている。
メルセデスのトト・ウォルフ代表は、チームが敗北したにもかかわらず、早くもマクラーレンのパフォーマンスを一段下に見る姿勢を見せた。彼は、マクラーレンのハンガリーでの強さは、ここ数年同サーキットで見せてきた圧倒的な強さを考えれば「予想通り」だったと主張している。
「AIにブダペストの本命を聞けば、AIはマクラーレンと答えるだろう。なぜなら彼らはここ数年、このサーキットで支配的なチームだったからだ」とウォルフは語った。彼はこの結果を、マクラーレンのコース特性への適合性によるものであり、根本的なパフォーマンスシフトを示すものではないと位置づけた。
同時にウォルフは、メルセデスにとって「週末全体が良くなかった」と認め、タイヤセットアップに苦戦したことを明かした。アントネッリが表彰台に上がったことについては「レース前に言われたら即座に受け入れただろう」と前置きしつつ、「しかし今振り返ると、もっとやるべきだったという感覚が強い」と本音ものぞかせた。メルセデスは予算キャップ(コストキャップ)の制約の中、後半戦に向けて意図的にアップグレードを温存している戦略もあるという。
今回のハンガリーGPでは、多くのドライバーがハンガロリンクのコース特性を、2026年マシンとの相性という点で珍しく高く評価した。
ハースのオリバー・ベアマンは次のように語る。「昨年、どこで走りたいかと聞かれれば、スパ(ベルギー)と答えていたでしょう。今年なら、シルバーストンやスパよりも、ハンガリーとオーストリアを挙げると思います。クレイジーに聞こえるかもしれませんが、そういうことなんです」。
高速コーナーが続くフローイングなレイアウトが、2026年レギュレーションのマシンに特に適していると指摘された。エステバン・オコンは、ドライバーがギア比やドライビングスタイルを自由に選べる点を挙げ、「昔のF1を思い出させる」とコメント。このレースは「2026年のF1レースは、すべてこうあるべきだった」と絶賛された。
メルセデスの19歳、キミ・アントネッリは予選7番手から3位表彰台に食い込み、タイトルリーダーとしての貫禄を見せた。これにより、アントネッリは219ポイントでドライバーズチャンピオンシップを首位で折り返し、2位ルイス・ハミルトン(169ポイント)との差を50ポイントに拡大、3位ジョージ・ラッセル(160ポイント)も引き離している。
アントネッリは今季ここまで6勝、9回の表彰台獲得。アナリストからは「A+」の中間評価を与えられ、そのシーズンは「まさに夢のようなキャンペーン」と評された。今回のように週末が思い通りに進まない中でも結果を出せる能力——例えばハンガリーでのグリッドペナルティからの挽回——が、彼を2026年前半最大のストーリーに押し上げている。なお、アントネッリはF1史上最年少でチャンピオンシップをリードしたドライバーとなり、中国GPからモナコGPにかけて5連勝を達成している。
サマーブレイク突入時点でのコンストラクターズランキングは、メルセデスが379ポイントでトップ、2位フェラーリが307ポイントで、その差は72ポイントとなっている。