しかし、会合の正式な当事者ではないヒズボラは、翌4日に指導者ナイム・カセム師の声明で応酬した。カセム師はこの合意を 「ばかげており、屈辱的で侮辱的だ」 と断じ、それは 「降伏であり、敗北であり、敵の目標を達成するものだ」 と批判した 。ヒズボラは以前から、政府間協議の結果には拘束されないと宣言していた
。
同組織が突きつけた対案は、ワシントン合意の枠組みとは根本的に相容れないものだった。
レバノンのアウン大統領は、ワシントン合意を 「最終的かつ包括的な停戦への最後のチャンス」 と位置づけ、各当事者が前向きに応じなければ責任を負うと警告した。これは、国家が軍事力を独占できていないレバノン政府の危うい立場を示している 。
これに対し、イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は 「イスラエルは当面の間、レバノンへの攻撃を継続し、南部から撤退することはない」 と明言。同相は、南部での攻勢は「継続中」であり、停戦はヒズボラが物理的に撤退した後に初めて実現すると説明した 。イスラエル軍参謀総長も停戦は発効していないと述べており、ワシントンでの外交的「成果」は現場に何の影響も与えなかった
。
外交努力の失敗は、死を伴う暴力によって断続的に刻まれた。6月4日未明、レバノン南東部マルジャユン近郊の国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)陣地が迫撃砲攻撃を受け、セルビア軍のミロヴァン・ヨヴァノヴィッチ二等軍曹が死亡、別の事案でスペイン兵2名を含む2名の隊員が負傷した 。この死により、2026年3月の紛争激化以降に死亡したUNIFIL隊員は7人となった
。
合意発表にもかかわらず、イスラエルは6月4日もレバノン各地で新たな攻撃を続行し、ベイルートへの脅迫も繰り返した。報道によると、作戦は南部での拡大と、首都のヒズボラ支配地域への標的化の両面で進行していた 。
イランは、自らを紛争の中心的かつエスカレーションを招きかねない当事者として位置づけている。アッバス・アラグチ外相は、イスラエルがベイルートを攻撃すれば、中東戦争の「全面再開」を引き起こすと直接警告し、イラン軍はイスラエルを攻撃する準備ができていると述べた 。
さらにアラグチ外相は、米国との「戦争終結合意」の最終案を調整中であり、その合意にはレバノンを含む全戦線での停戦保証が含まれねばならないと主張。イランとレバノンにおける戦争の運命は「最初から不可分」だと強調した 。米国のシンクタンク「戦争研究所」は、イランとヒズボラが、米国との交渉を、レバノン戦争を彼らに有利な条件で終わらせるための協議へと巧みに転換させようとしていると分析している
。
ヒズボラの拒否とイスラエルの軍事作戦継続により、ワシントンで合意された停戦案は、わずか数時間で崩壊したと広く報じられている 。レバノンの市民の間では、この合意をイスラエルの占領とヒズボラの軍事力という現実から乖離した「最低限の」ものと見る見方が強く、深い疑念が広がっている
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