各開催都市は、地元のアイコンと国際的スターを絶妙にブレンドしたラインナップを編成。クラシック、ロック、クンビア、アフロビーツ、ポップス、エレクトロニックと、ジャンルも多岐にわたった。
メキシコシティ公演は、映画『グラディエーター』のサントラでも知られる楽曲「Nelle Tue Mani(ネレ・トゥエ・マニ)」でイタリアの巨匠テノールが厳かに幕を開け、ラテンポップの熱狂へと雪崩れ込む構成だった。公演は「メヒコ・ヴィブラ」プロジェクトの一環として開催され、6月10日のチケット購入者は追加料金なしで本コンサートを体験できた 。
カナダ公演は、BMOフィールドでカナダ男子代表がW杯初のホームマッチを迎える数日前の「前夜祭」として、特別な意味を持っていた 。ブライアン・アダムスを筆頭に、カナダの才能を中心に据えた構成で、現地時間午後7時から11時まで熱狂の渦に包まれた
。
会場とチケットの背景: 歴史的建造物であるフォートヨーク国定史跡とザ・ベントウェイは、大会期間中「FIFAファンフェスティバル・トロント」の会場としても使用された場所だ 。チケットは**36カナダドル(約4,000円)**からと、一般の音楽フェスと比較しても非常に手頃な価格設定で、より多くのファンに門戸を開いた
。当日は雷雨や高温多湿が予報されていたが、幸いにも天候は持ちこたえ、予定通り決行された
。
今回のカウントダウンコンサートは、グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーとFIFAの初のコラボレーションとして実現した 。
これは単なるスポーツ前座イベントの枠を超え、演出やキュレーションの面で、賞レースのステージにも匹敵するようなクオリティを追求するというFIFAの意欲の表れと言っていいだろう。「GRAMMYS®との協業により開発された」このイベントは、まさに「サッカー×音楽」の新しいフォーマットを提示したのだ 。
FIFAはこのコンサートを、リアル会場だけでなく、世界中のデジタル視聴者に届ける複層的な配信戦略を敷いた。
TikTokは、この壮大な同時中継をリアルタイムで視聴できる独占ソーシャルメディアライブ配信パートナーとなった。6月10日、3都市すべての映像がTikTok上で公式配信され、唯一の「完全版」中継プラットフォームとなった 。
また、より従来型のテレビ放送やストリーミングでの視聴を好むファンのために、**FIFA.comおよびFIFA+**の公式デジタルプラットフォームでも配信が行われた 。ライブ終了後には、VuMe Liveでペイ・パー・ビュー形式のオンデマンド配信が翌日から開始され、世界中のどこからでも、好きな時間に追体験できる仕組みが整えられた
。
このコンサートは、単なる音楽イベント以上の意味を、特にカナダにもたらした。
カナダ男子代表が、W杯の約100年の歴史上、初めて自国で戦う瞬間が目前に迫っていたのだ。フォートヨークに掲げられたブライアン・アダムス、AHI、ザ・ビーチズといったカナダ人アクトの数々は、まさに歴史的なスポーツの瞬間を迎える国全体の士気を高める、最大規模の応援歌となった 。
FIFAファンフェスティバルのインフラ(大型スクリーン、フードベンダー、ファンゾーン)がすでに整備された会場で行われたこの夜のイベントは、コンサートの熱狂から、数週間にわたるカナダ・サッカー祭典の初日へと、人々の気持ちを滑らかにつなぐ起点となったのだ 。
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