| 純利益 | 4億3,820万米ドル | +6.7% | 黒字は維持したが、利益成長は小幅。 |
| 調整後EBITDA | 10億米ドル | +9.3% | 事業収益力は改善したが、売上の伸びには届かない。 |
売上高は、確認できる事前予想に対しておおむね5億〜7億米ドル上振れした計算になる。 一方で、一株利益(EPS)については慎重に見る必要がある。事前のEPS予想は複数資料で0.70〜0.77米ドル程度とされていたが、今回確認できるQ1発表資料では純利益は示されているものの、確定したQ1 EPSは確認できない。
そのため、EPSが市場予想を上回ったのか下回ったのかは、ここでは断定できない。
Seaの中で最も存在感が大きいのは、引き続きEC事業のShopeeだ。Q1プレゼンテーションによると、ShopeeのGAAP売上高は51億米ドルで、前年同期比45.1%増、前四半期比2.8%増となった。
会社側は、ShopeeがGMV(流通取引総額)、総注文数、売上で過去最高を更新し、同時に財務規律も維持したと説明している。 これは明るい材料だが、重要な注意点もある。確認できるQ1資料には、ShopeeのGMV金額そのものは示されていない。したがって、正確には「GMVは過去最高だったが、2026年Q1の具体的なGMV金額は確認できない」と読むべきだ。
Shopeeの前年までの土台はすでに大きい。Seaは2025年にShopeeが約4億人のアクティブ購入者と2,000万人の販売者を抱えたとしている。 また、2025年資料では、2026年のShopee GMVを約25%成長させつつ、調整後EBITDAを少なくとも2025年と同水準の絶対額で維持する方針が示されていた。
つまり市場が見るべきポイントは、GMVの拡大だけでなく、競争投資を続けながら利益をどこまで残せるかだ。
デジタルエンターテインメント事業のGarenaも、Q1では回復感を示した。SeaのQ1プレゼンテーションでは、Garenaの予約高は約9億3,140万米ドルで、前年同期比20.1%増、前四半期比38.5%増とされている。
この前四半期比の反発は重要だ。ゲーム事業の予約高は、ECや金融サービスのような継続的な取引収入に比べて変動しやすい。2025年通年ではGarenaの予約高は29億米ドル、調整後EBITDAは17億米ドルだった。 Q1の数字を見る限り、2025年の回復基調は2026年に入っても途切れていない。
デジタル金融サービスのMoneeは、バランスシート関連の指標で最も速い伸びを見せた。Q1プレゼンテーションによると、Moneeの融資元本残高は99億米ドルで、前年同期比71.3%増、前四半期比7.5%増だった。
この数字には、消費者向けおよび中小企業向け融資の元本残高が含まれ、オンバランスの融資とオフバランスの融資の双方が対象になっている。 2025年にはMoneeが売上高38億米ドル、調整後EBITDA10億米ドルを生み出しており、同年には2,000万人超の新規借り手を獲得したとも説明されている。
ただし、融資が急拡大すれば、当然ながら信用リスクも注目される。Maybankのリポートでは、MoneeのBNPL(後払い決済)浸透率は10%台半ばにとどまり、90日不良債権比率は約1.1%とされている。 もっとも、これはアナリスト側の文脈であり、今回のQ1決算発表資料で会社が示した信用指標そのものではない点は分けて考えたい。
今回の決算で最も気になるのは、売上成長が利益に変わるスピードだ。売上高は前年同期比46.6%増だった一方、粗利益は40.7%増、調整後EBITDAは9.3%増、純利益は6.7%増にとどまった。 成長投資や競争対応のコストが、利益率を押さえている可能性がある。
会社側の表現も、その見方と矛盾しない。Q1のリリースで経営陣は、2026年を「競争優位を深めるために踏み込む年」と位置づけつつ、財務規律を維持し、一部の投資ではユニットエコノミクスが改善し始めていると説明した。 前向きなコメントではあるが、同時に2026年も投資負担が決算の大きなテーマであり続けることを示している。
この懸念はQ1で突然出てきたものではない。AskTradersは決算前、Seaが過去4四半期連続で利益予想を下回っていたこと、また2025年Q4は売上高が予想を上回る一方でGAAP EPSが予想を下回ったことを指摘していた。 別の資料も、過去のQ4 EPS未達が将来の成長性と収益性への懸念を強めたと位置づけている。
ただし、2026年Q1そのものについては、確認できる資料上、EPSサプライズや決算後の明確な株価反応は判断できない。
Seaの2026年Q1は、売上成長という点では強い決算だった。売上高は事前予想を明確に上回り、Shopeeの売上は大きく伸び、Moneeの融資残高は急拡大し、Garenaの予約高も前年同期比・前四半期比の両方で改善した。