好調な数字にもかかわらず、投資家を失望させた要因はいくつかあった。
Q4(9月期)ガイダンスの低調さ
アップルは2026年度第4四半期の売上高成長率を前年比9〜11%と予想。中間値で約1130億ドルと、アナリストコンセンサスの約1149億ドルを大きく下回った。 ケバン・パレクCFO(最高財務責任者)は、為替変動だけでも成長率を約2.5%ポイント押し下げると説明した。
サプライチェーン制約の深刻化
ティム・クックCEOは「先端チップ製造のボトルネック」が主な供給制約要因だと述べ、9月期には供給圧力が「大幅に増加する」と警告した。 MacBook Neoの品不足は続いており、成長の上限を決める要因として認識されている。
アップルが示した2026年度第4四半期(9月期)の見通しは以下の通り。
好決算にもかかわらず、アップル株は時間外取引で急落した。
今回の決算発表は歴史的な節目でもあった。ティム・クックCEOにとって最後の決算電話会見だったのだ。クック氏は、ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏が2026年9月1日付で最高経営責任者(CEO)に就任し、自身は取締役会の執行会長(エグゼクティブ・チェアマン)に移行することを改めて確認した。
クック氏はこの場で、アップルでの28年間、そしてCEOとしての15年間を振り返り、ターナス氏への全面的な信頼を表明した。 この経営体制の移行は2026年4月に発表されたもので、取締役会の全会一致で承認された、長期的かつ周到な後継者計画の結果であると説明されている。
アップルの2026年度第3四半期決算は、典型的な「逆説的な状況」を示している。すなわち、企業業績としては記録的な売上高とEPS、急増するiPhoneやMacの販売と、極めて好調である一方、短期的な見通しは自社ではコントロールできない外部要因によって曇らされているのだ。チップのボトルネックやメモリーコストの上昇は業界全体の問題であり、アップル固有の失敗ではない。投資家にとっての問いは、第3四半期に示された旺盛な需要が、供給制約が強まる期間中もビジネスを支え続けられるのか、それとも制約が収益と利益率の拡大に本格的な歯止めをかけ始めるのか、という点だ。CEO交代という不確実性も加わるが、会社側は長期計画に基づく秩序ある移行を示している。
アップルの2026年度第3四半期は、売上高1094億ドル、EPS2.02ドル、iPhone、Mac、サービス部門で6月四半期として過去最高を記録するなど、ほぼ全ての指標で好調だった。しかし市場の関心は即座に9月期見通し(前年比9〜11%成長)へと移った。その数字はアナリスト予想を大きく下回り、チップ不足、メモリーコスト、為替変動という逆風の強まりを如実に示していた。クックCEOの最後の決算発表という節目は、アップルが新たな時代へと突入しようとしていること、そしてどんなに強い需要があっても短期的には完全には克服できない供給課題に直面していることを、改めて印象づけるものとなった。