ECBのラガルド総裁はシントラフォーラムで、停戦合意によるエネルギー価格の低下がユーロ圏のインフレと成長リスクを軽減したものの、紛争の再燃によってその効果は完全に打ち消されたと述べています 。
ECB(2025年6月11日): ECBは25ベーシスポイント(bp)の利上げを決定し、預金金利を**2.25%**に引き上げました。これは利下げサイクル後の初めての利上げであり、イラン戦争に伴うエネルギーコストの再燃が理由です 。市場はこの利上げをほぼ100%織り込んでおり、ECBは追加利上げの可能性も示唆しました 。
FRB(2025年7月): FRBは政策金利を**3.50~3.75%**に据え置きましたが、インフレが冷えない限り追加利上げの用意があるというタカ派的な姿勢を崩しませんでした 。
この結果生まれたのは、サイクル全体で見て最大の名目金利差です。通常、「タカ派FRB vs ハト派ECB」という構図はユーロ安ドル高につながります。しかし今回は、両中銀が同時にタカ派に転じたため、従来の「金融政策の乖離(ダイバージェンス)トレード」は機能不全に陥りました。ECBが利上げしても、ユーロに相対的な利回り優位性が生まれなかったのです。FRBの金利がはるかに高く、さらなる利上げの可能性もあるため、ユーロの上昇はことごとく失敗に終わりました 。
2025年7月28日~8月1日は、EUR/USDにとって夏で最も重要なイベントリスクが集中する週でした。トレーダーは以下の5つの主要指標と政策決定に直面しました。
| 経済指標・イベント | 日付 | 重要性 |
|---|---|---|
| FOMC(連邦公開市場委員会) | 7月28~29日 | 金利決定とドットチャート更新。ドルの方向性を決める |
| 米国4-6月期GDP(速報値) | 7月30日 | 景気の全体像。FRBのスタンスを硬化または軟化させる可能性 |
| 米国6月PCE(個人消費支出) | 7月31日 | コアPCEはFRBが最も注視するインフレ指標 |
| ユーロ圏4-6月期GDP(速報値) | 7月30日 | 景気後退懸念と底堅さのせめぎ合い |
| ユーロ圏7月HICP(消費者物価指数)速報 | 7月31日 | ECBの次の一手を占う重要なインフレ指標 |
もし米PCEが市場予想よりも強い数字を示したり、GDPが堅調なら、FRBのタカ派姿勢が強まり、EUR/USDは1.13ドルのフロアを目指すか、さらに下抜ける可能性があります。逆に、ユーロ圏のGDPが弱かったり、HICPが高止まりすれば、ECBはスタグフレーションと利上げの板挟み状態に陥り、ユーロにとっては救いになりません。このペアは明確な材料を欠き、明確なカタリストがない限り1.13~1.15ドルのレンジを抜け出すことができず、弱気バイアスの中でこれらのイベントを迎えていたと言えるでしょう 。