落札されたのは、2026年型フェラーリ「ルーチェ テイラーメイド」、シャシーナンバー0(VIN: ZFF21BUA8T0338000)である。この個体は、フェラーリのオーダーメイドプログラム「テイラーメイド」によって特別に仕立てられた一台で、マザーオブパールセミグロス(Madreperla Semi-Gloss)エクステリアとパール(Perla)インテリアをまとう
。ノーリザーブ(最低落札価格なし)で出品されたこのロット(Lot 345)は、入札開始と同時に熱狂の渦に巻き込まれた
。
入札は約100万ドルからスタートし、500万、1000万、2500万と瞬く間に跳ね上がり、最終的に4000万ドルに達した。オークション関係者は、そのあまりの速さと金額の大きさに「息を呑む」と表現している
。
この4000万ドルの落札額(ハンマープライス)の全額が、米国で認可された公共慈善団体「The Ferrari Foundation」(501(c)(3))に寄付される。同財団は、マラネッロに建設中の技術教育キャンパス「M-TECH Alfredo Ferrari」(2029年開校予定)や、米国内の教育プログラムを支援する
。フェラーリは、このオークションを同社初のEVに対する注目を集めるための、高プロファイルな資金調達イベントとして位置づけた
。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| パワートレイン | 4基の永久磁石同期モーター(各輪駆動)によるAWD・トルクベクタリング |
| 最高出力 | 約1,050 hp(1,035~1,113 hpとの情報も) |
| 最大トルク | 約730~990 Nm |
| 0-60 mph加速 | 約2.4~2.5秒 |
| 最高速度 | 約192~193 mph(ガバナー制限) |
| バッテリー | 122 kWh NMC(ニッケル・マンガン・コバルト)パック |
| 航続距離 | 約329マイル(WLTP、実用約280~310マイル) |
| 急速充電 | 最大350 kW DC |
| 車両重量 | 約2,260 kg |
| インテリアデザイン | サー・ジョニー・アイブ率いる「LoveFrom」デザインコレクティブ |
このオークションは、RM Sotheby'sモントレーオークション全体のハイライトとなった。同オークションは、**全会場で約3億7000万ドル(成立率87%)**という巨額の売上を記録した
。他のトップロットには、1985年式フェラーリ288 GTO(1155万5000ドル)や、1979年式ランボルギーニ・カウンタックLP400 SシリーズI(237万ドル)などがある
。
ルーチェの4000万ドルという落札額は、このオークション総売上の**約11%**を占めた。伝統主義者からは賛否両論を呼んだ現代のEVでありながら、モントレー・カーウィーク全体を象徴する記録的なセールとなったのである。
推定価格110万ドルの約40倍、前年の記録を1400万ドルも上回る4000万ドル。フェラーリ ルーチェ シャシー0は、単なる新記録を超え、オークション市場、そして自動車業界そのものに強烈なインパクトを与えた。落札代金はすべて教育という未来への投資に充てられ、この一台は「フェラーリの新時代」と「慈善の精神」を象徴する存在となった。