迎えた17分、カタールGKマフムード・アブナダがペナルティエリア内でレモ・フロイラーと接触。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の末にPKが宣告され、これをエンボロが冷静に決めてスイスが先制した 。
ここから試合は、完全にスイスのペースで進んだ。ボール支配率は68%、正確なパス数では522本とカタールの275本を大きく上回り、ファイナルサードへの侵入回数でも79対38と圧倒 。シュート数は26本、ゴール期待値(xG)に至っては3.24を記録しながら、2点目が遠い
。
カタール守護神アブナダの好セーブに加え、DFアイユーブ・アル=ウイのゴールラインテクニックによる決死のクリアなどもあり、1点のリードはキープされる 。しかし、試合を決められないもどかしさが、次第にスイスイレブンを苛立たせ、足を重くしていった。
試合は後半アディショナルタイムへ。スイスサポーターがあと数十秒で勝ち点3と確信した、まさにその時だった。左サイドからホマム・アハメドが放り込んだクロスに、DFブーレム・クーキが打点の高いヘディングで合わせ、ボールはスイスゴールに吸い込まれた 。
それはスタジアムに集まった6万7966人の観衆を熱狂の渦に巻き込み、W杯史上4番目に遅い時間帯での「規定時間内の同点ゴール」として記録された 。スカイスポーツが表現した「怠慢なパフォーマンス」を露呈したスイスにとって、あまりに高くついた代償だった
。
数字を見れば、スイスの悔やみきれなさは明白だ。26本のシュート、3.24のxG、そして一方的なポゼッション 。しかし、スコアは1-1。元スペイン代表監督のフレン・ロペテギが率いるカタールの粘り強い守備を崩しきれず、決定的な2点目を奪う「クッション」を作れなかったことが全てだった
。
誰もが「スイスの頭一つ抜けた展開」を予想したグループで、初戦からその筋書きは崩れた。カタールにとっては、2022年の「忘れたい自国W杯」から完全に脱却し、決勝トーナメント進出という新たな目標を本気で追いかけるための、大きな弾みとなる勝ち点1だ 。ロペテギ監督の下で培った守備の粘り強さを証明したこの一戦は、今後の彼らを単なる「記念参加国」以上の存在に押し上げるかもしれない。
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