今回のラウンドをリードしたのはHummingbird Venturesで、Northzone、LocalGlobe、Village Global、redalpineが参加した 。調達した資金は、産業用ロボット向けデータ&導入プラットフォーム「Atlas」の拡大と、工場作業など一般人の動作を撮影した実世界の物理データ収集に充てられる
。キリッチCEOはSiftedの取材に対し、「(この金額は)欧州に必要な額の10億分の1に過ぎない」とコメントしている
。
シードラウンド発表からわずか1週間後の2026年7月22日、microagiはGoogle Cloudとの戦略的協業と、具現化AIモデルのトレーニング・導入を加速するためのNVIDIA Blackwellプラットフォームの活用を発表した 。
この提携により、Atlasは現在、Google CloudのAI最適化インフラ上で、NVIDIA GB300 NVL72ラックスケールシステムとRTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPUを用いてモデルのトレーニングと推論を行っている 。ソフトウェアスタックにはGoogle CloudのGemini Enterprise Agentプラットフォームも統合される
。3社のエンジニアリングチームが直接協力する体制だ
。
キリッチCEOはこの提携について、次のように述べている。「ロボットはデータから学習しますが、データはそれをトレーニングするコンピュートがなければ無価値です。今回の提携は、現段階では単独では構築できない規模とエンジニアリングの深さをもたらします。NVIDIAはカードレベルで最適化し、Google Cloudはマシン全体を最適化します」 。
Atlasはmicroagiの主力製品であり、産業企業が特定の工場タスク向けにロボットを実戦投入するためのデータ&導入プラットフォームである 。同社は自社でロボットを製造するのではなく、ハードウェアやモデルに依存しないソフトウェアを開発し、各顧客の運用データを使ってAIモデルをファインチューニングする
。
具体的には、人間が実際に作業(組立、仕分け、搬送など)を行う様子を映像などで収集し、その動作データをもとに、ヒューマノイドロボットや市販ロボットプラットフォーム向けのタスク特化型具現化AIモデルを訓練する 。Google Cloud/NVIDIAとの提携以降、Atlasのトレーニングと推論はすべて、Google Cloud上のNVIDIA Blackwell基盤で実行されている
。
microagiのCEO ベルチャン・キリッチ氏は、欧州が独自の具現化AIコンピュートインフラを構築できるかどうかの猶予はあと12〜18ヶ月であり、この期間を逃せば米国や中国との技術格差はもはや埋められなくなると公然と警告している 。
核心的な懸念は、欧州には具現化AIモデルを米国や中国の競合と同じペースで訓練するために必要な、大規模GPUコンピュートクラスターが不足しているという点だ。緊急の投資が行われなければ、欧州のロボティクス企業は非欧州のクラウドインフラに恒久的に依存することになるとキリッチCEOは主張する 。
キリッチCEOは、microagi自身が米国のクラウドプロバイダー(Google Cloud/NVIDIA)と提携せざるを得なかったこと自体が、欧州のインフラ格差の症状であると位置づける。たとえ記録的なシードラウンドであっても、地域内に存在しないものを購入することはできないからだ 。彼は欧州の政策立案者や投資家に対し、コンピュートインフラをエネルギーグリッドや交通ネットワークと同様の「戦略的な主権インフラ」として扱うよう強く求めている
。
キリッチCEOの言葉を借りれば、「欧州の産業は、借り物のコンピュートでは再び工業化することはできない」、「欧州で工場を運営しているなら、その計算はすでに机の上にあるはずだ。最も経験豊富な人材はこの10年で引退するが、彼らの後を継ぐ者は誰もいない」
のである。