施設は2026年7月21日に試験運転を開始しました。今回の研究は、中国科学院近代物理研究所が主導し、中国科学院大学、ドイツのGSIヘルムホルツ重イオン研究センター、ケルン大学、東華理工大学、先進エネルギー科学技術広東省実験室が参加しました。成果は学術誌『Science Bulletin』に短報として掲載されています。
ハフニウム153は、重い原子核のなかでも中性子が少ない「中性子不足」の領域に位置します。陽子と中性子のバランスが崩れやすく、原子核を結びつけておくことが難しくなる領域です。この同位体は今回の実験以前には報告されておらず、その存在を確認し質量を測定できたこと自体が、新たな実験データとなります。
測定結果から、^153Hfは束縛核、またはかろうじて束縛された核であることが示されました。この結果は、複数の原子核質量モデルによる予測と整合しています。理論上の予測が完全に確定したわけではありませんが、直接観測が難しい原子核の性質を予測するモデルを検証する、重要な実験的チェックとなります。
実験ではまず、HIAFのブースターリングでビスマス209のビームを核子あたり836.66メガ電子ボルトまで加速しました。このビームを黒鉛の標的に衝突させると、「入射核破砕反応」によってさまざまな放射性原子核が生成されます。
ただし、目的のハフニウム153は多数の反応生成物のなかにごくわずかしか含まれません。生成物は高エネルギー放射性イオンビームラインHIRIBLで選別・輸送され、SRing蓄積・スペクトロメーターリングへ送られました。
そこで飛行時間検出器を使って候補となる原子核を区別し、等時性質量分析によって質量を精密に測定しました。その結果、チームは合計10個の^153Hfイオンを記録しました。
難しさは、ハフニウム153を「作る」ことだけではありません。推定される生成断面積はピコバーン級で、生成頻度が極めて低いからです。強度の高い一次ビーム、分解能の高い生成物分離、単一イオンを捉えられる質量分析を連携させて初めて、信頼できる同定が可能になりました。
ほぼ同じ時期に、日本の理化学研究所(RIKEN)にある放射性同位体ビームファクトリー(RIBF)でも、研究者が^153Hfを独立に観測したと報告しました。独立した2つの施設による観測が一致したことで、わずかな検出数に基づく結果に伴う不確実性が抑えられ、同位体の同定がより強く裏付けられました。
生成率が極端に低い原子核では、別の実験による確認がとりわけ重要です。今回の結果は、ハフニウム153を核理論と比較するための、より確かな基盤を研究者に提供します。
今回の成果は、HIAFの研究計画の終点ではなく、性能を示す初期実証です。加速器、放射性イオンビームの輸送、生成物の分離、精密質量測定という複数の機能を組み合わせ、希少で短寿命の原子核を研究できることを実証しました。
今後、HIAFのビーム強度と実験効率が向上すれば、実験能力はおよそ2桁高まると見込まれています。これにより、未知の同位体の発見、原子核質量モデルのより厳しい検証、陽子と中性子の偏りがさらに大きい環境での原子核の性質の測定が可能になると期待されています。
ハフニウム153の観測が重要なのは、極めて作りにくく見つけにくい新たな原子核を確認したからだけではありません。HIAFが、原子核の存在限界という未開拓領域を実験で探る準備を整えたことを示す、最初の大きな一歩でもあります。
施設は2026年7月21日に試験運転を開始しました。今回の研究は、中国科学院近代物理研究所が主導し、中国科学院大学、ドイツのGSIヘルムホルツ重イオン研究センター、ケルン大学、東華理工大学、先進エネルギー科学技術広東省実験室が参加しました。成果は学術誌『Science Bulletin』に短報として掲載されています。
ハフニウム153は、重い原子核のなかでも中性子が少ない「中性子不足」の領域に位置します。陽子と中性子のバランスが崩れやすく、原子核を結びつけておくことが難しくなる領域です。この同位体は今回の実験以前には報告されておらず、その存在を確認し質量を測定できたこと自体が、新たな実験データとなります。
測定結果から、^153Hfは束縛核、またはかろうじて束縛された核であることが示されました。この結果は、複数の原子核質量モデルによる予測と整合しています。理論上の予測が完全に確定したわけではありませんが、直接観測が難しい原子核の性質を予測するモデルを検証する、重要な実験的チェックとなります。
実験ではまず、HIAFのブースターリングでビスマス209のビームを核子あたり836.66メガ電子ボルトまで加速しました。このビームを黒鉛の標的に衝突させると、「入射核破砕反応」によってさまざまな放射性原子核が生成されます。
ただし、目的のハフニウム153は多数の反応生成物のなかにごくわずかしか含まれません。生成物は高エネルギー放射性イオンビームラインHIRIBLで選別・輸送され、SRing蓄積・スペクトロメーターリングへ送られました。
そこで飛行時間検出器を使って候補となる原子核を区別し、等時性質量分析によって質量を精密に測定しました。その結果、チームは合計10個の^153Hfイオンを記録しました。
難しさは、ハフニウム153を「作る」ことだけではありません。推定される生成断面積はピコバーン級で、生成頻度が極めて低いからです。強度の高い一次ビーム、分解能の高い生成物分離、単一イオンを捉えられる質量分析を連携させて初めて、信頼できる同定が可能になりました。
ほぼ同じ時期に、日本の理化学研究所(RIKEN)にある放射性同位体ビームファクトリー(RIBF)でも、研究者が^153Hfを独立に観測したと報告しました。独立した2つの施設による観測が一致したことで、わずかな検出数に基づく結果に伴う不確実性が抑えられ、同位体の同定がより強く裏付けられました。
生成率が極端に低い原子核では、別の実験による確認がとりわけ重要です。今回の結果は、ハフニウム153を核理論と比較するための、より確かな基盤を研究者に提供します。
今回の成果は、HIAFの研究計画の終点ではなく、性能を示す初期実証です。加速器、放射性イオンビームの輸送、生成物の分離、精密質量測定という複数の機能を組み合わせ、希少で短寿命の原子核を研究できることを実証しました。
今後、HIAFのビーム強度と実験効率が向上すれば、実験能力はおよそ2桁高まると見込まれています。これにより、未知の同位体の発見、原子核質量モデルのより厳しい検証、陽子と中性子の偏りがさらに大きい環境での原子核の性質の測定が可能になると期待されています。
ハフニウム153の観測が重要なのは、極めて作りにくく見つけにくい新たな原子核を確認したからだけではありません。HIAFが、原子核の存在限界という未開拓領域を実験で探る準備を整えたことを示す、最初の大きな一歩でもあります。