世界の中央銀行がデジタルマネーの設計を進める中、日本銀行(BOJ)が「このままでは金融システムが分断されかねない」と警鐘を鳴らしている。
日銀の氷見野良三副総裁は、米国と欧州が異なるデジタル通貨戦略を採っている点を指摘。両者が互換性のない形で進めば、世界の金融システムの基盤である**「通貨の一体性(singleness of money)」**が損なわれる可能性があると述べた。![]()
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通貨の一体性とは、現金・銀行預金・中央銀行準備など、形態が異なるお金でも常に同じ価値で交換できるという原則だ。現代の決済システムの信頼性を支える重要な考え方とされている。
米国と欧州で分かれるデジタルマネー戦略
氷見野副総裁が懸念するのは、世界の主要経済圏で政策の方向性が大きく分かれている点だ。
米国では、連邦政府機関による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行が禁止される一方、ドル建てステーブルコインの規制整備と普及が進められている。これは民間企業が発行するデジタルトークンを通じて、ドルの国際的な影響力を維持・拡大する狙いがあると見られている。![]()
一方、欧州中央銀行(ECB)は**「デジタルユーロ」**と呼ばれるCBDCの開発を進めている。これは欧州域内の決済の近代化や、国ごとに分かれた支払いインフラの統合を目的としたものだ。![]()
どちらも金融インフラの大きな再設計だが、制度や技術、決済基盤が互換性のない形で進めば、世界の金融システムが複数のデジタル通貨圏に分裂する可能性がある。
「通貨の一体性」が崩れると何が起きるのか
中央銀行はこれまで、現金・銀行預金・中央銀行マネーなどの異なる形態の通貨が常に1対1で交換できる状態を維持してきた。
しかしデジタル通貨の種類が増え、
・ステーブルコイン
・CBDC
・トークン化された銀行預金
・その他のデジタル資産
といった仕組みが別々の規制やネットワークで運用されるようになると、金融市場がそれらを別々の通貨として扱い始める可能性がある。
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