発表前、SKハイニックス株はAIインフラ投資への期待を追い風に上昇していた局面から一転し、6月22日の高値2,919,000ウォンから約49%下落していた。背景には、世界的な半導体株のバリュエーション調整、米国債利回りの上昇、韓国株全体の急落があったと報じられている。市場の混乱時には、韓国総合株価指数(KOSPI)が5%超下落し、取引中断も報告された。
SKハイニックス自身は、事業の本質的な強さや将来性が株価に反映されていないことを、今回の判断理由として説明している。タイミングから見ると、自社株買いには主に二つの意味がある。
発表後の反応は短期的には好意的だった。通常取引で大きく下落していたSKハイニックス株は、自社株買い計画の発表後、時間外取引で6%超上昇した。もっとも、これは発表が短期的な需給や投資家心理を動かしたことを示すものであり、株価が持続的な底値を付けたことの証明ではない。
今回の措置は、SKハイニックスが掲げる2025~2027年の株主還元方針を前倒しで加速するものでもある。同社は、対象期間に生み出す累計FCFの還元目標を、従来の「50%以内」から「50%超」へ変更した。
還元手段は次の組み合わせとなる。
追加の配当や自社株買いについて、規模や方法の詳細は、取締役会の承認を経たうえで、第3四半期決算とともに公表される予定だ。したがって、今回の40兆ウォンの計画は実施時期と上限が明確な短期施策だが、その後の還元の規模やタイミングはまだ確定していない。
大規模な還元策を可能にしているのは、AI向けメモリー需要による強いキャッシュ創出力だ。SKハイニックスの2026年第2四半期の売上高は79兆3,187億ウォン、営業利益は60兆5,426億ウォンで、営業利益は前年同期比557%増となった。いずれも過去最高の実績だったが、売上高と営業利益は市場の極めて高い予想には届かなかった。
一方、SKハイニックスは投資の手を緩めていない。取締役会は、竜仁(ヨンイン)と清州(チョンジュ)の拠点でDRAMやNANDの新工場を建設するため、約54兆3,000億ウォンの投資を承認している。AI向けメモリーを含む製品の生産能力を拡大するためだ。
株主への資金還元と巨額の設備投資を同時に進める組み合わせは一見大胆だが、戦略としては一貫している。Samsung ElectronicsやMicron Technologyとの競争で優位性を守るための投資を続けながら、余剰資本は株主に戻すという考え方である。SKハイニックスは、クリーンルームや製造装置への支出を顧客需要に応じて段階的に進められるとしており、生産能力を増やしながら資本効率を保つ余地も残している。
株式を消却すれば、発行済み株式数は機械的に減少する。そのため、利益水準が維持されれば、1株当たり利益などの指標が改善する可能性がある。また、過去最高の利益を上げたにもかかわらず株価が圧迫されている局面で、株主にとって分かりやすい還元策にもなる。
ただし、自社株買いはメモリーチップ業界の根本的なリスクを消すものではない。メモリー価格には循環性があり、競合他社が供給を増やす可能性もある。政策金利や長期国債利回りの上昇は、成長株に投資家が支払うバリュエーションを押し下げる。さらに、現在のAIインフラ投資ブームがどこまで続くのかについても、市場では議論が続いている。
大規模な自社株買いは、株式への需要を生み、経営陣の自信を示す。しかし、株価が長期的に見直されるかどうかは、AI向けメモリー需要の持続性、価格決定力、そして設備投資をどれだけ規律をもって進められるかにかかっている。
提供された証拠からは、265億ドルを新たに発表されたナスダック上場の価値として説明することはできない。今回、確認できる中心的な発表は、40兆ウォンの自社株買いと全株消却、および株主還元方針の拡充である。したがって、この上場金額を自社株買いの理由や資金源として扱うべきではない。
最も明確な見方は、SKハイニックスが二つの課題に同時に対応しようとしているということだ。ひとつは、現在の株価は中長期の成長性に照らして低く評価されていると株主に伝えること。もうひとつは、AIメモリー市場の次の成長局面でSamsung ElectronicsやMicronと競争するための投資余力を維持することである。