ファーウェイ・テクノロジーズと米国のPCメーカー、HP Inc.は2026年8月26日、Wi‑Fi技術に関する複数年・世界規模の特許クロスライセンス契約を発表しました。最新規格のWi‑Fi 7に関連する技術も対象に含まれ、両社は相手が保有する特許のうち、契約で指定された範囲にアクセスできます。125
HPが利用できるもの
契約により、HPはファーウェイの一部のWi‑Fi特許を、PCなどのWi‑Fi接続製品で利用するライセンスを得ます。459
ただし、両社は対象となる特許をすべて明らかにしておらず、技術的な適用範囲も完全には公表していません。そのため、HPがファーウェイのWi‑Fi特許ポートフォリオ全体を包括的に利用できる契約だと解釈するのは適切ではありません。459
対象にはWi‑Fi 7に関連する技術も含まれます。Wi‑Fi機能はPCやその他の接続機器に組み込まれるため、この契約は新しいHP製品や共同製品を発表するものではなく、該当する製品で特許技術を合法的に利用するための権利を定めたものです。11323
クロスライセンスの仕組み
クロスライセンスとは、両社が互いの特許を利用できるようにする契約です。今回の合意では、HPがファーウェイの一部特許にアクセスする一方、ファーウェイもHPの特許を利用できます。HP側で対象となる具体的な特許や、契約全体の詳細な金銭条件は公表されていません。12
一部報道では、HPがWi‑Fi技術へのアクセスに伴い、ファーウェイへ差額調整金を支払うとされていますが、金額は明らかになっていません。821現時点で公に確認できる最も慎重な説明は、詳細な経済条件を非公開とした、有償の複数年特許クロスライセンス契約です。
HPが「通常の契約」と説明した理由
HPは今回の合意について、広く使われているWi‑Fi技術に関する「標準必須特許」ライセンスだと説明しています。標準必須特許とは、Wi‑Fiのような業界標準に準拠した製品を作るうえで、利用が必要になり得る特許です。
HPによれば、この種の契約はWi‑Fiに接続する製品を手がける企業にとって一般的なもので、今回の合意はファーウェイとのより広い戦略的・商業的関係、提携、協業を意味するものではありません。311
この点は、今回の発表の意味を考えるうえで重要です。発表されたのは、標準化された無線技術を製品で使うための知的財産権に関する合意であり、新型デバイス、部品供給契約、共同事業の立ち上げではありません。1123
アラン・ファン氏の評価
ファーウェイの最高知的財産責任者であるアラン・ファン氏は、今回の合意を、先端的な情報通信技術(ICT)分野における同社の「持続的な独自イノベーションの強力な証し」と表現しました。また、特許ライセンスを通じて、特に標準化技術の分野で、ファーウェイのイノベーションを産業界や世界の消費者と共有できると述べています。715
つまり、ファン氏はこの契約を、ファーウェイが標準化されたICT技術に貢献してきたことへの評価として位置づけています。一方、HPは通常のライセンス取引だと強調しています。この2つの説明は矛盾しません。契約はファーウェイの特許の価値を認めるものになり得ますが、それだけで両社の幅広い商業提携を示すものではありません。