発足時のXRPL上のTVLは約3000万ドルと控えめだった。当時、オンドはイーサリアムとソラナに合計6億7000万ドル以上の資産を持っていたからだ 。しかし、この統合は、市場が爆発的に成長する直前の参入だった。トークン化米国債の総額は、2024年末の約50億ドルから、2026年4月には約128億ドルへと急拡大している
。
2026年5月6日、オンド・ファイナンスは「トークン化米国債の初の国際的なクロスバンク償還」を発表した。これは、単なる概念実証ではない。実際にリップル社が保有するOUSGが償還され、そのプロセスがXRPレジャー上で処理されたのだ 。
決済の流れは鮮やかだ。
従来の国際的な米国債償還は、T+1(翌営業日)やT+2(翌々営業日)の決済が一般的で、営業時間外は動かせない。この実証実験は、償還指示からオンチェーンでの消却、別の法域での法定通貨受け渡しまで、全てが銀行間でほぼリアルタイムに行えることを示したのだ 。
2026年6月のデータによると、XRPレジャーはオンドのトークン化米国債商品で2億7400万〜2億9400万ドル(約400億〜430億円相当)を預かる最大のネットワークとなった。これは、ソラナの2億900万ドルを上回り、イーサリアムの全商品合計17億8000万ドルに迫る数字だ 。
これはあくまで、一発行体(オンド)内でのリードであり、RWA市場全体をひっくり返したわけではない。だが、この事実が示す意味は大きい。機関投資家向けの特化型決済インフラが、より巨大な汎用チェーンに、特定のユースケースで勝てることを証明したのである。
トークン化現実資産(RWA)市場では、この3つのチェーンが異なるポジションを築いている。
イーサリアム: 「変わらぬ王者」。2026年6月時点で全RWAの51.8%(162億ドル)を保持する絶対的な支配者だ 。ブラックロック、フランクリン・テンプルトン、フィデリティなど、ウォール街の巨大資産運用会社は、主にイーサリアム上でオンチェーン国債インフラを構築しており、この先行者利益は簡単には揺るがない。実際、イーサリアム上のトークン化米国債だけで約80億ドルに上ると推定されている
。
ソラナ: 「最も勢いのある挑戦者」。2025年にRWA価値が218%急増し、2026年第1四半期だけでも前四半期比43%増の20億1000万ドルに達した 。その成長の多くはブラックロックのBUIDLファンドによるものだ。サブセカンドのファイナリティ(取引の確定)と、ほぼゼロに等しい手数料は、個人投資家向けや高頻度取引のユースケースに強みを発揮する
。
XRPレジャー: 「一点突破のスペシャリスト」。XRPLの強みは、トークン化米国債という単一の資産クラスと、オンド・ファイナンスという単一の発行体に集中している点だ。だが、オンドはTVL、保有者数、パートナー連携数で最大のトークン化米国債プラットフォームであり、この「一点」の戦略的重みは極めて大きい 。XRPLに組み込まれたコンプライアンス機能——分散型ID(DID)、KYC/AMLツール、低コストの取引基盤——が、規制された金融機関の決済に最適な環境を提供している
。
| 指標 | イーサリアム | ソラナ | XRPレジャー (オンドのみ) |
|---|---|---|---|
| 全RWAオンチェーン総額 | 162億ドル (51.8%) | 27億ドル (8.7%) | シェアはまだ小さい |
| オンド商品の内訳 | 178億ドル (全商品) | 2億900万ドル | 2億9400万ドル (OUSGで首位) |
| 2026年Q1のRWA成長率 | 成熟した基盤で成長率は緩やか | 前期比43%増 | オンド内で最も速い相対的伸び |
市場全体では、RWAのオンチェーン価値は2026年第1四半期に約210億ドルから275億ドルへと、わずか3カ月で30%も増加した 。上位6つのトークン化米国債商品だけで、運用資産残高(AUM)は150億ドル近くに達している
。XRPLの2億9400万ドルは全体のごく一部だが、オンドのエコシステム内での成長軌道は、機関投資家の決済パターンが特定のチェーンに分かれ始めていることを示唆している。
「XRPレジャーがイーサリアムを抜いた」とセンセーショナルに語るのは簡単だ。しかし、現実はもっと繊細である。
イーサリアムは依然として、トークン化米国債の大半が存在し、ウォール街の巨人たちが好んで利用するチェーンだ。ソラナは、より幅広いRWAカテゴリーで最も攻撃的な成長率を誇る。
XRPレジャーが成し遂げたのは、「規制された金融機関同士が国境を越えてトークン化米国債を動かす」という特定の重要タスクにおいて、専用に構築された決済インフラが勝てるということを示した点にある。JPモルガンとマスターカードとの実証実験は、単なる構想ではない。実際の資金償還、実際の銀行口座への法定通貨送金、パブリックブロックチェーン上での5秒未満の実際のファイナリティが伴ったものだ。
オンドが成長する米国債フローをXRPLに集中させる決断をしたのは、国境を越えた決済速度、コンプライアンスツール、既存の銀行ネットワークとの統合が、機関投資家向けの米国債商品にとって、汎用的なDeFiエコシステムよりもはるかに重要だという、戦略的な賭けに他ならない。XRPLがこのモデルを他の発行体や資産クラスで再現できるかは、まだわからない。しかし今のところ、トークン化金融の中でも最も重要な特定ユースケースにおいて、明確なリーダーの地位を切り開いたのである。
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