TrendForceは、2026年ごろにヒューマノイドロボットの商用化が進むことで次世代電池需要が加速し、ロボット由来の固体電池需要は2035年に74GWh、2026年水準の1000倍超に達すると予測しています 。
Gasgooも、固体電池の商用化はコストに厳しいEV分野からではなく、性能に対する割増価格を受け入れやすく、体積エネルギー密度への要求がより厳しい身体性知能分野で先に足場を築く可能性があると指摘しています 。ここでいう身体性知能とは、AIがセンサーやモーターを備えたロボットなどの「身体」を通じて作業する領域を指す言い方です。
もちろん、EV向け全固体電池の重要性が薄れるわけではありません。ポイントは、全固体電池の製造がまだ拡大途上にある間、小さくても価値の高いロボット市場が実地検証の場になりやすいということです 。
POSCOは、全固体電池をリチウムイオン電池の液体電解質を固体電解質に置き換える次世代電池と説明しています 。ただし、市場報道で使われる「固体電池」には幅があります。
TrendForceによれば、半固体電池はすでにGWh級の量産に達している一方、全固体電池は数百MWh規模のパイロット生産段階にあり、検証と最適化が進められています 。
つまり本質的な問いは、「固体電池に近い技術が存在するか」ではありません。安く大量に作れるようになる前の次世代固体電池を、どの市場が繰り返し買えるのか、という点です。
TrendForceによると、現在のヒューマノイドロボットの多くは稼働時間が2〜4時間にとどまり、長時間化にはホットスワップ、つまり充電済み電池への交換、または固体電池のような高エネルギー密度電池が必要になります 。
産業現場で使うなら、1回の充電や交換までに動ける時間が伸びるほど、作業サイクルに組み込みやすくなります。POSCOも、産業用途でヒューマノイドロボットへの関心が高まるなか、電池が性能を左右する重要要素になっていると説明しています 。
Gasgooは、身体性知能用途ではEV分野よりも体積エネルギー密度への要求が厳しいとしています 。ロボットでは、どれだけのエネルギーを限られた筐体内に収められるかが重要です。
POSCOも、全固体電池はエネルギー密度と安全性の面から、商用化前段階でありながら産業用ヒューマノイドロボットの有力な電源候補とみなされていると説明しています 。
全固体電池は、液体電解質を固体電解質に置き換える設計です 。POSCOは、この固体電解質の利用により、全固体電池は高いエネルギー密度と安全性を持つと整理しています 。
人の近くで動く産業用ロボットでは、安全性は単なる付加価値ではなく、導入判断に関わる要素になります。全固体電池が商用成熟前から候補に挙がるのは、そのためです 。
Gasgooの見立てはシンプルです。EVはコスト重視の市場である一方、身体性知能用途は性能プレミアムを受け入れやすい可能性があります 。
これは、全固体電池がまだ半固体電池と同じ量産成熟度に達していない現状では大きな違いです。TrendForceは、全固体電池をGWh級の量産ではなく、数百MWh規模のパイロット生産段階と位置づけています 。
EVは、固体電池の長期的な大市場であり続けます。ただ、最初の本格導入先としては難しさがあります。GasgooはEV分野をコストに厳しい領域とし、身体性知能分野とは対照的に扱っています 。
さらにTrendForceは、半固体電池がGWh級量産に入る一方、全固体電池は数百MWh規模のパイロット生産段階にあるとしています 。主流EVに広く載せるには、低コストと大きな供給規模を同時に満たす必要があります。
一方で、稼働時間2〜4時間という壁に直面するロボットなら、稼働率、搭載スペース、安全性が改善する限り、初期の高性能電池を採用する判断がEVより早まる可能性があります 。
企業の動きも、この流れを示し始めています。Aju Pressは2026年1月、POSCOグループの電池材料部門であるPOSCO Future Mが、ヒューマノイドロボットと産業ロボットを対象にした固体電池材料の研究開発を始めたと報じました 。
News18Aは、Chery傘下のMoJia RoboticsがChery自社開発の固体電池をロボットに使う計画であること、XPengの次世代ヒューマノイドロボットIRONが固体電池採用を確認し、2026年末までの量産と2027年の商用販売を見込むこと、さらにGACのGoMateが全固体電池を組み込んでいることを報じています 。
ただし、企業発表がすぐに大規模普及を意味するわけではありません。TrendForceによれば、世界で約100社が固体電池の生産計画を発表し、合計能力は100GWhを超えていますが、全固体電池は現時点でなおパイロット生産段階にあります 。
もうひとつの実用的な指標は、商用ヒューマノイドロボットの稼働時間です。TrendForceが示す2〜4時間のレンジを超える製品が増えるなら、電池化学やパック設計の進歩が重要な役割を果たしている可能性があります 。
現時点の材料から見ると、固体電池の最初の意味ある商用足場は、主流EVよりもヒューマノイドロボットや身体性知能システムのほうが現実的に見えます。ロボットには、短い稼働時間、厳しい体積制約、安全性への要求、そして性能プレミアムを説明しやすい用途という条件がそろっています 。
EVが重要でなくなるわけではありません。ただ、価格に敏感な自動車市場で広く競争するには、全固体電池にはさらなる検証、最適化、量産規模の拡大が必要です 。