ツァイ氏は、欧米の多くの企業がAIスタックの一層だけに注力するのに対し、アリババは5層すべて(エネルギー、インフラ(チップ&クラウド)、基盤モデル、アプリケーション、戦略的柔軟性)に参入している点を強調した。この垂直統合は、構造的な優位性として認知されつつある
。
エネルギー(送電網):中国は年間約900億ドルを送電網に投資しており、これは世界最高水準。ツァイ氏は、この巨額投資がAIの膨大なエネルギー需要を支え、エネルギー供給の安定とコスト低減に直結していると指摘した。
基盤モデル:大規模言語モデル「Qwen(通義千問)」ファミリーは、世界で最も広く使われるオープンソースAIモデルの一つに。アリババのAI事業は投資フェーズを超え、商用リターンを生む段階に入っており、成長の勢いは従来のコンピューティングやストレージから、モデル、計算力、インテリジェントエージェントサービスへとシフトしている。
戦略的柔軟性:ツァイ氏は、現在は「モデル企業が非常にホット」だが、フルスタックアプローチは、AIの最大価値がインフラ、モデル、アプリケーションのどこに最終的に集積するかという不確実性に対するヘッジになると述べた。
ツァイ氏はオープンソースモデルをアリババ戦略の中核に位置づけた。Qwenモデルをオープンソース化した理由の一つは、AIの利用を民主化しアプリケーションを普及させることで、自社のクラウドコンピューティング事業への需要を喚起するためだと説明した。「オープンソースから利益を得る方法は、それがAIへの需要を喚起し、トレーニング需要を生み出し、将来的には多くの推論(インファレンス)需要が見込めることだ」と述べている
。
デジタル主権については、技術的自立性とデータプライバシーの2つが重要な要因だと指摘。Qwenのようなオープンソースモデルにより、組織はモデルをダウンロードし、微調整し、自社インフラで実行できるため、外部プロバイダーへの依存を減らしつつ、機密データを社内ファイアウォール内に保持できると述べた。
オープンソースに加え、ツァイ氏は中国のAI躍進を、送電網への戦略的投資、完全な製造サプライチェーン、そして高速なエンジニアリング文化の3つに起因するとした。同氏は、中国の「アプリケーション豊富なエコシステム」が企業の迅速な適応を促し、AI展開に理想的な環境を作り出していると述べた
。
米中AI競争については、ゼロサムゲームではなく長距離レースと表現。「誰が最も強力なAIモデルを創り出すか」ではなく、「誰がより迅速に実装できるか」で成功を測るべきだと述べ、米国企業だけでなく欧州企業とも協調しながら、中国企業がグローバルなオープンソースAIエコシステムの主要な貢献者となる可能性を示唆した。
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