マカオのベネチアン・マカオで2026年5月27日から30日まで開催された、アジア最大級のテクノロジー見本市「BEYOND Expo 2026」![]()
。この場で、深圳に拠点を置くスタートアップ、Even Realitiesの共同創業者ワン・リー氏は、ウェアラブル技術の常識に真っ向から挑むビジョンを提示した。競合他社がこぞってデバイスにカメラやセンサーを詰め込む中、同社は「搭載しない」ことこそをブランドの核に据えているのだ。
ワン・リー氏の講演の中心は、ディスプレイ型スマートグラス「Even G2」と、そのコンパニオンデバイスであるスマートリング「Even R1」だった。この組み合わせが体現するのは、同社の「プライバシー・ファースト(Privacy-first)」という哲学だ。メッセージは極めて明確で、これらのスマートグラスは、あなたや周囲の人々を記録しないように設計されており、それこそが最大のセールスポイントなのである。
設計思想の核心:あえてカメラを搭載しないこと
Even G2を特徴づける最大の要素は、それが「持たない」ものだ。このグラスには、外向きのカメラもスピーカーも搭載されていない。これはコスト削減策ではない。製品のアイデンティティの根幹をなすものだ
。同社の公式資料が「カメラ非搭載。設計思想そのものです。記録されることも、社会的な摩擦もありません。ただ自然な存在感があるだけです」と謳う通りである
。その狙いは、ワン・リー氏が言うところの「記録されるかもしれないという不安」
を取り除くことにある。これは、メタ(Meta)の「Ray-Ban Stories」のような製品とは一線を画す、意図的な対比だ。
このアプローチにより、Even G2は、ひと目でそれとわかるガジェットというよりは、高品質な日常使いのアイウェアに近い外観を実現している。ワン・リー氏は、このデバイスを、監視ツールではなく、情報に控えめにアクセスするための「プライバシー・ファースト」の道具として位置づけた。
Even G2 スマートグラス:主な特徴と価格
Even G2は、前モデルG1をベースに、ハードウェアとソフトウェアの両面で大幅なアップグレードが施されている。
- ディスプレイ:同社の最新光学エンジン「HAO 2.0」を採用した3Dフローティングディスプレイを搭載。先代モデルより75%大型化し、より鮮明に。装着者の視界にだけクリアな緑色のテキストやグラフィックを投影し、周囲からは見えない。情報は奥行き感を持って表示され、視界を妨げないレイヤー状の通知を可能にする。