プーチン氏はこの数字を基に、世界の「成長の構造」が新興国やグローバルサウスと呼ばれる国々へ不可逆的にシフトしていると主張した 。今回の演説は、この変化を一時的な再調整ではなく、多極化秩序への構造的転換の始まりと位置づけたものだ。ロシアは、意思のあるあらゆるパートナーと対等な協力関係を結ぶ用意があると自らをアピールしたのである
。
興味深いのは、米国によるインドへの制裁圧力の可能性について問われた場面だ。プーチン氏は鮮やかな警告を発した。ナレンドラ・モディ首相のリーダーシップの下では、インドに対するいかなる制裁の脅威も「すぐにブーメランのように跳ね返ってくる」だろうと述べたのである 。この発言は、ロシアとインドの防衛協力関係(Su-57戦闘機の共同開発やブラモス・ミサイル計画など)の深化を印象づけると同時に
、インドの「戦略的自律性」が欧米からの圧力に対する防波堤であるという立場を強化するものだった。
タンザニアのハッサン大統領は、アフリカを単なる発展途上の物語としてではなく、手堅い投資先として再定義してみせた。彼女は、2050年までに世界人口の4人に1人がアフリカ人になるという人口動態と、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を組み合わせることで、アフリカ大陸は将来の世界成長にとって不可欠なエンジンになると論じたのである 。
彼女はロシアの投資家に対し、クリーンエネルギーやハイテクのサプライチェーンに不可欠なウラン、ニッケル、グラファイト、ヘリウム、レアアース(希土類)といった鉱物資源が豊富に埋蔵されているタンザニアの鉱業セクターへの投資を明示的に呼びかけた 。さらに、バガモヨ経済特区をはじめとする港湾・製造プロジェクトを国際的なパートナーシップの受け皿としてアピールした
。この売り込みは、アフリカ諸国が従来の欧米以外の投資パートナーを積極的に多様化し始めている、というフォーラム全体の大きなテーマを反映していた。
SPIEF組織委員会のアントン・コビャコフ事務局長が発表した最終集計によると、1,084件の契約が成立し、その総額は6兆6,420億ルーブルに達した。ドル換算では、使用する為替レートによって約840億ドルから895億7,000万ドルと幅があるが、いずれの数字も前回・前々回のフォーラムの公表値をわずかに上回るものだ(2024年は6.49兆ルーブル) 。特に、開催地であるサンクトペテルブルク市だけで74件、総額7,317億2,000万ルーブル(日本円で約1兆2,440億円)の契約を締結しており、これは同フォーラム史上3番目に高い記録である
。
生々しい数字以上に、コビャコフ氏が強調したのは142カ国からの参加者があったという事実だ。主催者側はこの数字を、欧米によるロシア経済封じ込めの試みが失敗した証拠として盛んにアピールした 。「実利的な対話:安定した未来への道」という今フォーラムのモットーは、SPIEFをもはや一地域のイベントではなく、制裁に左右されない多極化世界における最高峰のディールメイキングの場として位置づけたい、というロシアの狙いを象徴していた
。
Comments
0 comments