ガートナーが2026年8月に公表した、AI最適化クラウドインフラに関する支出予測の詳細は以下の通り。
背景を踏まえると、生成AIブーム初期には学習がインフラ支出の大部分を占めていた。この構造が今、完全に反転したのである。
成長は推論分野だけに限らない。AI最適化IaaSへの総支出は2026年に423億ドルに達し、2025年の215億ドルから96.4%の増加を見込む。2027年にはさらに市場は拡大し、661億ドル(56.5%増)に達する予測だ。
世界全体のIaaS支出(非AIワークロードを含む)は、2026年に2,873億ドル(2025年の2,222億ドルから29.3%増)、2027年には3,599億ドルと見込まれている。
ガートナーによれば、推論支出を学習支出よりも押し上げる原動力は2つある。
ガートナーのアナリスト、ハルディープ・シン氏は「このシフトはクラウド消費パターンを加速させ、AI最適化インフラへの持続的な需要を生み出している」と指摘する。
この傾向は他のアナリストの分析でも裏付けられている。デロイトの「Tech Trends 2026」では、2026年の全AIコンピューティングの3分の2を推論が占めると推定。フューチャラム・グループの独立予測では、マネージド推論は2025年に231億ドル(インフラ支出の58.6%)に達し、推論支出は2025年にすでに学習を逆転していたという。
ガートナーが示す推論/学習の数字は、さらに大きな全体像の中に位置づけられる。
デロイトの分析によれば、推論向けクラウドAPIの価格は前年比で約80%も下落しているにもかかわらず、総支出が爆発的に増加しているのは、ユニットコストの低下以上に利用量の伸びが大幅に上回っているためである。
ガートナーはまた、注意を促す見解も示している。2028年までに、生成AIイニシアチブの少なくとも50%が計画予算を超過すると予測。その原因は、アーキテクチャ選択の誤りと運用面での専門知識不足にあると指摘する。
推論が主な要因だ。学習が大きな先行投資であるのに対し、推論コストはユーザーやアプリケーションがモデルを呼び出すたびに発生する。ガートナーは、推論がモデルのライフタイムコストの少なくとも**70%**を占めると予想している。
ガートナーはCIOに対して、以下の戦略的行動を推奨している。
この「推論逆転(Inference Flip)」は、単なる支出統計ではない。AIインフラの優先順位の根本的な再構築を意味する。「より大きなモデルを作ること」が主要なコストドライバーだった時代は終わり、それらのモデルを本番環境で大規模に稼働させる時代に移行しつつある。クラウドプロバイダーにとっては、GPUやASICのキャパシティに対する持続的な需要が続くことを意味する。企業にとっては、インフラ計画の中心を、モデル学習への先行投資ではなく、AIの運用コストに置く必要があることを意味する。
ガートナーの報告書が明確に示す通り、「開発からデプロイへ」のシフトはすでに到来しており、予算項目はもはや以前と同じ姿ではありえない。