同社によると、これは
中国初の事例だとされています。
この車両はXPengのGXプラットフォームをベースに設計され、SAEのLevel‑4自動運転を想定しています。
Level‑4とは、特定の地域や条件(運行設計領域=ODD)の中であれば、人間の操作なしで車両が自律走行できるレベルを指します。
多くの自動運転プロジェクトが外部サプライヤーの技術に依存するのに対し、XPengはチップからAIソフトまで内製化することで、コストやデータ管理、システム最適化を自社でコントロールする狙いがあります。
ロボタクシーの中核となるのが、XPengが開発したTuring AIチップです。
車両には4基のチップが搭載され、合計で
約3,000 TOPS(1秒あたり3兆回規模の演算性能)
という非常に高い車載AI計算能力を持つとされています。
この計算力は、自動運転に必要な次の処理を同時に実行するために使われます。
報道によると、このロボタクシーはLiDARや高精度HDマップに依存しない「ビジョン主体」の自動運転方式を採用しています。
つまり、カメラ映像とAIモデルによってリアルタイムに道路状況を理解する仕組みで、アプローチとしてはテスラの自動運転戦略と似た部分があります。
ソフトウェア面では、XPengの第2世代AIモデル
VLA(Vision‑Language‑Action)
が使われます。
従来の自動運転システムは
といった複数の処理段階を経る設計が一般的でした。
しかしVLAモデルは、カメラ映像から直接「行動(運転操作)」を生成するエンドツーエンド型AIを目指しています。
このモデルは大量の実際の走行動画やシナリオデータで訓練され、XPengはこれを
「物理世界AI(Physical AI)」
への重要なステップと位置づけています。
XPengは、2026年後半にロボタクシーの試験運行(パイロット)を開始する計画です。
初期の対象地域として想定されているのが、中国南部の広州市です。
同社はすでに、L4ロボタクシーの公道テスト許可を取得しています。
XPengのCEOである何小鵬(He Xiaopeng)氏は、完全自動運転について
「1〜3年以内に実現する可能性がある」
と述べていますが、これはあくまで企業の見通しであり、確定した導入時期ではありません。
実際の商用サービス開始には、次の条件が影響します。
そのため、広範囲での無人ロボタクシー普及は2020年代後半の課題と見る専門家も少なくありません。
XPengの動きは、テスラのFull Self‑Driving(FSD)戦略を意識したものでもあります。
両社のアプローチには共通点があります。
テスラは世界中の車両から収集したデータをAI学習に使っています。一方XPengは、自社チップと専用ロボタクシー車両を組み合わせたモビリティネットワークを構築しようとしています。
もしXPengがロボタクシーを大規模展開できれば、EV市場の競争は単なる「車の販売」から
AIで動くモビリティプラットフォームの競争
へと変わる可能性があります。
量産ロボタクシーの登場は大きな節目です。しかし、それだけで完全自動運転サービスが実現するわけではありません。
最大の課題は、
といった問題を大規模運用でクリアできるかです。
XPengは強力なAIチップと自社開発スタックを持っていますが、最終的な勝敗は
実世界での安全性、規制対応、そして車両数のスケール
によって決まるでしょう。
つまり現在のEV競争は、単なる電気自動車の性能ではなく、AIとデータを軸にした次世代モビリティの主導権争いへと移りつつあります。