ウィリー・ウー氏の見立ては明快です。ただし、無条件の強気予想ではありません。氏は2026年9月、暗号資産市場がすでに底を打った確率を**90%**と評価しました。根拠は、長期投資家による流動性が市場へ戻り、相場構造が弱気相場の終盤ではなく「強気相場の初期段階」に見える、というものです。
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これは分析家としての確率評価であり、「これ以上下がらない」という保証でも、一直線の上昇を予測するものでもありません。ウー氏自身、強気相場がどれほど続くかは不明であり、投資家の資金フローが弱まれば強気の構造も維持できないとしています。
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核心はカレンダーではなく「流動性」
ウー氏が重視するのは、ビットコイン市場に誰が資金を供給しているか、その資金が継続的か、資金フローが強まっているか弱まっているかです。この枠組みでは、長期投資家の流動性が戻っていることが最も重要な強気シグナルになります。
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対照的に、同氏はこれまで底値の特定に有効だった4年の半減期サイクルを、あえて判断の中心から外しています。過去のサイクルを主軸にする分析家の間では、底打ち済みの確率はおよそ**40%**との見方があるといい、ウー氏の90%とは大きな開きがあります。
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つまり、対立点は単純な強気・弱気ではなく、何をより重い証拠とみなすかです。
- ウー氏の視点:現在の流動性、投資家の資金フロー、機関投資家の参加、オンチェーンの市場構造
- 従来のサイクル分析:過去の高値後・半減期後の値動きや時間軸との類似性
なお、ウー氏が唱える6〜8年サイクルは、市場構造の変化に関する仮説であり、4年サイクルを置き換えたと実証されたわけではありません。
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なぜ半減期の影響は相対的に小さくなるとみるのか
2024年4月の半減期後、ビットコインの年間新規発行量は約16万4,250BTC、供給量のおよそ**0.82%になりました。2028年の半減期では、年間約8万2,125BTC、約0.4%**までさらに減る見込みです。
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ウー氏の主張は、新規供給という限界的な要因が小さくなる一方、現物ETF、企業・機関投資家の配分、信用環境、世界的な流動性は、はるかに大きな資金を動かし得るというものです。そのためビットコインは、厳密な半減期の時計よりも、伝統的金融(TradFi)の債務・流動性サイクルに近い6〜8年のリズムへ移る可能性があるとしています。
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これは「半減期が無意味になった」という意味ではありません。ビットコインが機関投資家の資本やマクロ経済環境と結び付きを強めるにつれ、半減期の相対的な影響力が下がるかもしれない、という限定的な主張です。
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議論が浮上した時点の市場環境
この議論が広がった時期、ビットコインは約7万6,000ドルで取引され、2025年10月の史上最高値からは約**38%**下落していました。
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流動性の仮説は、悪材料に市場がどう耐えるかという実地試験にも直面しました。9月15日、米上院は暗号資産の規制明確化を目指すCLARITY Actの審議入りを、50対49で否決。ビットコインはその後およそ3%下落し、米国の現物ビットコインETFでは1日で約4億5,000万ドルの純流出が記録されました。
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ウー氏の理論では、悪材料が出たこと自体で底打ち説が否定されるわけではありません。重要なのは、買い手と長期資金がショックを吸収できるか、そして価格構造と資金フローが持続的に悪化しないかです。
CryptoQuantは「最終底」より中期的な下値固めとみる
オンチェーン分析企業CryptoQuantの寄稿者らは、最終的なサイクル底と断定するより慎重です。現在の局面は、弱気相場の最終底というより、上昇サイクルの途中に形成される可能性がある**中期的な底値圏(mid-cycle floor)**に近いと分析しています。
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支援材料の一つは、含み損を抱えるビットコインUTXO(未使用トランザクション出力)の比率低下です。CryptoQuant寄稿者のCrypto Dan氏によれば、その比率は約**60%から約27%**へ下がりました。ネットワーク全体に広がっていた含み損の圧力が弱まった可能性を示します。
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一方で、未解決のリスクもあります。ビットコインはおおむね次の2つのコストベースの間で推移しているとされます。
- 約7万1,300ドル:アクティブ供給のコストベースで、支持線になり得る水準
- 約7万9,800ドル:投下資本のコストベースで、損益分岐点で売りたい保有者による抵抗になり得る水準
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オンチェーン指標の改善は、さらなる下落や回復の足踏みを排除するものではありません。
強気説を裏付けるシグナル、崩すシグナル
この仮説は、一度きりの予言ではなく、観察可能な条件の組み合わせとして捉えるのが実用的です。
ウー氏の見方を支え得る材料
- ビットコインが7万1,300ドル付近のアクティブ供給コストベースを維持する。
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- 含み損状態のUTXO比率が急増せず、低位で抑えられる。
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- 米国の現物ビットコインETFの資金フローが安定し、継続的な純流入に戻る。
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- 7万9,800ドル近辺の損益分岐点売りを吸収し、何度も跳ね返されずに推移できる。
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強気説への反証となり得る材料
- 7万1,300ドル近辺を持続的に下抜ける。
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- 含み損を抱える供給量が再び増え、未実現損失の圧力が広がる。
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- ETFの償還が続き、機関投資家の需要が回復ではなく後退を示す。
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- 7万9,800ドル近辺での上値拒否が続く。
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8月のETF流入は重要。ただし7月は「流出月」ではない
米国の現物ビットコインETFは2026年8月、35億2,000万ドルの純流入を記録し、同年で最大の月間流入となりました。6月には約45億1,000万ドルの純流出があった後だけに、機関投資家の需要が急速に戻り得ることを示した数字です。
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ただし、7月を6月と同じ「資金流出月」とするのは正確ではありません。SoSoValueベースの報道では、7月は約1億7,240万ドルの小幅な純流入で、直前の2カ月連続の流出を終えています。
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この区別には意味があります。8月の急増は需要環境が改善した可能性を支えますが、それが継続する証明ではありません。9月15日の約4億5,000万ドルの1日純流出は、ファンド資金フローがいかに速く反転し得るかを示しています。
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まとめ
ウー氏の「90%」は、流動性と市場構造に基づく仮説です。長期投資家の流動性回復を、ビットコインが強気相場の初期局面へ移った可能性を示す材料とみています。一方、従来のサイクル分析はなお不確実性を示しています。
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実際に注目すべきなのは、値動きがまったく荒れないかではありません。含み損圧力が抑えられるか、7万1,300ドル近辺の支持が保たれるか、そしてETF需要が売り圧力や悪材料を吸収できるほど持続的になるかです。これらの条件が崩れれば、90%という強気の見立ての説得力は大きく低下します。
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