資金調達から6週間後、Ineffable Intelligenceは、インフラ市場を徹底評価した上で、その「スーパーラーナー」計画を支えるパートナーとしてGoogle Cloudを選んだと発表した。2026年6月16日にロンドンで開催されたGoogle Cloud Summitで明らかにされたこの契約により、同社はNVIDIA搭載GPUとしては世界最大級のアレイの一つへのアクセスを得ることになる。具体的には、Google CloudのAI Hypercomputerアーキテクチャ上にデプロイされる
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このパートナーシップは深い戦略的連携に基づく。Googleは既にシードラウンドの投資家であり、この契約によりIneffableはGoogle Cloudの最新AI最適化ハードウェア、特にGoogle Cloud Next '26で発表された第8世代TPUや、NVIDIA Vera Rubinチップを搭載した新しいA5Xベアメタルインスタンスを活用できるようになる。ロンドン・サミットでの発表は、英国がフロンティアAI研究の中心地として急速に重要性を増していることを示している
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Ineffable Intelligenceの中心哲学は、現在主流の大規模言語モデル(LLM)パラダイムへの真っ向からの挑戦である。UCL(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)の教授であり、DeepMindの強化学習チームの元リーダーでもあるデビッド・シルバーは、AlphaGo、AlphaZero、MuZeroといったシステムの背後にいる主要な設計者だ。これらのシステムは、人間の棋譜を学習することなく、純粋な試行錯誤による自己対戦(セルフプレイ)で囲碁やチェスを極めた。
シルバー氏の核となる主張は、人間が生成した膨大なテキストデータで学習するLLMには本質的な天井があるというものだ。LLMは人間が既に書き記したことから補間することしかできず、真に新しい知識を発見することはできない。彼が提唱する「スーパーラーナー」は、環境との相互作用を通じて自身のデータを生成し、人間がこれまで文書化したことのない全く新しい知識を発見する人工知能である。同社の使命は「超知能とのファーストコンタクトを果たすこと」とされている
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このアプローチは、ChatGPT、Gemini、Claudeなどの基盤となっている、インターネットからスクレイピングしたテキストによる事前学習を完全に否定する。代わりに、AIエージェントが試行錯誤と報酬シグナルを通じて学習する強化学習に全面的に舵を切る。シルバー氏が2024年に発表した論文「Reward is Enough」は、この賭けの知的枠組みを素描したものであり、十分に知的なエージェントは報酬シグナルによって駆動されれば、必要なすべての知識を導き出せると主張している
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巨額の資金とインフラへのコミットメントは、AI業界における画期的な出来事を意味する。主要なGPU供給元であるNVIDIA、インフラプロバイダーのGoogle Cloud、そしてトップクラスのベンチャーキャピタルが一堂に会したことは、強化学習ベースの「経験学習」が、高度なAIへの信頼できる、そしておそらくは優れた道筋であるという、業界を挙げた大きな賭けであることを示している。これは、OpenAIやAnthropicといった企業が進めるLLM中心の戦略に対するカウンターウェイトとして、Ineffable Intelligenceを位置づけるものだ。
しかし、このベンチャーには大きなリスクが伴う。汎用的な「スーパーラーナー」に必要な規模での強化学習は、計算コストが非常に高く、ゲームやシミュレーション環境の外では未だ実証されていない。1100億円のシード資金は長い滑走路を提供するものの、同社が現実世界の科学的発見や複雑で開かれた領域でブレークスルーを起こせるかどうかは、まだ示されていない。