SPIEFでの議論によると、テクノロジー関連上場の約90%は中国とインドで発生した 。つまり、ブロック全体としてのIPOの「存在感」は、実質的には中国とインドの独り舞台であり、ブラジル、ロシア、南アフリカ、そして新規加盟のアフリカ諸国や中東諸国は非常に小さな役割しか果たしていないのだ
。
2025年上半期のデータでは、中華圏(グレーターチャイナ)だけで世界のIPO調達額の約3分の1を占め、前年同期の12%から劇的な回復を見せた。一方、インドは世界のIPO件数の約20%を占めている 。この集中パターンは複数のデータで一貫しており、過去のBRICS IPOの分析では、上場企業の大半が中国企業、約3分の1がインド企業であり、ロシア、ブラジル、南アフリカを合わせても全体の10%未満に過ぎない
。
この事実は、投資家や政策立案者にとって重要な示唆を与える。BRICSの技術系公開市場の強さという「物語」は、アジアの2大巨頭によってほぼ成立しているのであり、加盟国全体の強さを示すものではないと理解すべきだろう。
ロシアが積極的に推進するのが、自国の金融メッセージ送信システム「SPFS」だ。エルビラ・ナビウリナ中央銀行総裁によれば、2025年初頭までに20カ国から159の海外金融機関が参加している ,
。現在、BRICS全体で各国の国内金融メッセージシステムを統合する議論が行われており、中国やインドも独自のシステムを保有している
,
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より広範なBRICS構想の中核にあるのが「BRICS Pay」だ。これはブロックチェーンを基盤とした分散型のクロスボーダー決済システムで、SWIFTを迂回し、米ドル依存を減らすことを目的とする ,
。ウラジーミル・プーチン大統領は2024年末、BRICS諸国が各国の金融インフラを接続する「BRICSブリッジ多面的決済プラットフォーム」を開発中であると確認している
。アントン・シルアノフ財務相は、当面の目標は「共通通貨」ではなく、中央銀行が発行するデジタル金融資産を交換するブロックチェーン基盤の共通プラットフォームであると強調している
。
これと並行して進むロシアの「デジタル・ルーブル」構想も、欧米の決済網への依存を減らす狙いがあるが、普及は難航している。ロシア中央銀行は当初、2025年7月までの「大規模導入」を目標としていたが、加盟店の抵抗や物流上のハードルにより、一般向けの本格展開は2026年9月に延期され、全金融機関への導入は早くても2027年以降の計画となっている 。
カーネギー国際平和財団は、「理論上、中央銀行デジタル通貨(CBDC)はロシアにSWIFTの代替手段を提供しうるが、『デジタル・ルーブルが主流の流通に乗るまでには、まだ長い道のりがある』」と指摘する 。短期的には、ロシアの暗号資産政策も進化を見せており、中央銀行は銀行やブローカーが届出制で暗号資産取引所を運営できるモデルを検討する一方、国内での暗号資産による支払いは引き続き禁止する方針だ
。
SPIEFで語られた壮大なテクノクラート的ビジョンとは裏腹に、ロシア国内の経済データは全く異なる物語を語っている。戦時中の軍事支出による「シュガーラッシュ(初期の急激な景気刺激)」は、明らかに終焉を迎えた。
成長の急減速: 2023年と2024年に約4%の成長を記録した後、ロシアのGDP成長率は2025年に約1% へと急減速した。IMFは2026年の成長率をわずか0.8% と予測している ,
,
。この数字は、BRICS全体の平均成長率を大きく下回る。
インフレと金融引き締め: ロシア中央銀行は、「世界で最も引き締まった金融政策」と形容される運営を強いられてきた。2024年後半から2025年にかけて、インフレ調整後の実質金利は10%超で推移した 。政策金利はピーク時の21%から、2025年半ばの利下げサイクル開始後、最終的に16%前後へと低下した
,
。インフレ率も2024年の9.5%から2025年には約5.6%へと低下したが、依然として目標の4%を大きく上回っている
。
石油収入と財政圧力: 2025年の石油・ガス収入は約24%減少し、1110億ドルへと落ち込んだ。これは2020年以来の最低水準である ,
。連邦財政赤字は推定5.6兆ルーブル(GDP比約2.6%)に達し、歳出は急増した
。2026年の赤字がGDP比3.5%超、あるいは4.4%にまで達する可能性を指摘する声もあり、政府は付加価値税(VAT)の引き上げなど、代替財源の確保に追われている
,
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制裁の累積効果: 平和再建レポート(peaceRep)の分析は、「制裁は累積的かつエスカレートするマイナスの影響をロシア経済に与える」と強調し、国際的な原油価格の下落が財政圧力をさらに強めていると分析する 。民間企業が強いられる「戦術的貧困」(徹底的なコスト削減)は、IMFの成長予測引き下げと軌を一にしており、民間セクターのストレスの明白な指標となっている
。
BRICSの拡大と代替金融の推進は、グローバルな再編の文脈の中で起きている。IMFの予測では、2026年の世界の実質GDP成長の約56% をBRICSとASEAN経済圏が生み出し、中国が26.6%、インドが17.0%を占める 。購買力平価ベースのGDPでは、BRICSブロックはすでにG7を追い越し、2024年末時点で世界の35%超を占めるようになった
。
しかし、ブロック内部での成長、IPO、金融インフラの分布は極めて不均等だ。SPIEF 2026での議論は、移行期にあるブロックの姿を浮き彫りにした。それは、未来への大きな野心に満ち、貿易や決済の面で統合を深めつつあるが、一方で、中国・インドと、制裁と戦費で国内基盤が浸食される中を必死に制度代替を模索するロシアのような国々との間にある、深い内部格差によって定義づけられている。
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