診察室では多くの情報が一度に伝えられます。病名、検査結果、治療の選択肢、薬の説明などが重なり、特に重大な診断が出た場合には理解がさらに難しくなることもあります。
Dittoは、この「医師の説明をあとから確認できない」という問題に焦点を当てて開発されました。
Dittoのアプリは、医療の会話や文書をAIで処理し、患者が理解しやすい形に整理します。主な機能は次の通りです。
この結果、患者は診察の内容を検索可能な形で保存し、後から確認したり家族と共有したりできます。治療方針の理解や薬の服用指示の確認にも役立つとされています。
Dittoは Tobias Polak、Bart Voorn、Merlijn van Breugel の3人によって設立されました。
アイデアのきっかけは、重い病気の友人の診察に付き添った経験だったと報じられています。同じ診察を聞いたはずなのに、二人の理解が大きく食い違っていたことが問題意識につながりました。
Dittoは 2025年夏にオランダで公開 されました。
リリース後の成長は比較的速く、公開から現在までに 約10万ダウンロード に近い利用者数に達しています。
さらに、オランダの患者団体である Dutch Patient Federation がこの取り組みを支持し、医療保険会社 Menzis も加入者にアプリを推奨しています。
2026年、Dittoは 760万ユーロ(約13億円前後) のシード資金を調達しました。
このラウンドはベルリンのヘルステック投資ファンド Heal Capital が主導し、Rubio Impact Ventures と Optiverder が参加しています。
資金は主に次の用途に使われる予定です。
同社は今後、ドイツ、イギリス、スペイン など欧州市場への展開を目指しています。
医療現場では、時間の制約や専門用語の多さによって患者との情報ギャップが生まれやすいと言われています。
Dittoのようなツールは、診察内容を 構造化された要約と平易な説明 に変換することで、患者が自分の健康情報をより主体的に理解できる環境をつくろうとしています。
もしこうしたAIアシスタントが普及すれば、将来は「診察のあとに内容を見返す」という行為が、医療体験の標準になるかもしれません。