これにより、bcryptでハッシュ化されたパスワードやセッションシークレット、そして特に重要な管理者APIキーといった機密情報が露出する危険性があります 。管理者APIキーが漏洩すると、攻撃者はGhostの管理APIへのフルアクセス権を手に入れ、記事の作成・改ざんやページ内容の変更など、サイトのコンテンツを自由に操作できるようになります。
この脆弱性に対する修正パッチは、2026年2月にGhostバージョン6.19.1で静かに提供されました。しかし、多くのサイト運営者がアップデートを適用しなかったため、悪用への扉は開かれたままとなりました 。
中国のセキュリティ企業である奇安信(QiAnXin)の脅威インテリジェンスチーム「XLab」が2026年5月に発見したこのキャンペーンは、すでに700を超えるドメインに被害を及ぼしており、その中には信頼性の高い有名サイトも多数含まれています 。被害が確認されたサイトには、ハーバード大学、オックスフォード大学、オーバーン大学といった教育機関のポータルサイトや、**プライバシー重視の検索エンジン「DuckDuckGo」**の関連サイトが含まれます 。
さらに事態を複雑にしているのは、少なくとも2つの競合する攻撃グループが、同じ脆弱なサイトを奪い合うように侵害している点です。XLabの調査によれば、ある攻撃グループによって不正コードが埋め込まれたGhostサイトが、その数時間後には別の攻撃グループによって再び改ざんされるというケースも観測されています 。
サイトに埋め込まれるJavaScriptは意図的に小さく作られており、二段階式のローダーとして機能します。最初の小さなスクリプトが、外部の攻撃サーバーから実際の攻撃ロジックを取得して実行する仕組みです 。これまでに確認されている最終的なペイロード(攻撃の最終段階で実行される不正プログラム)は以下の通りです。
この攻撃チェーンは、データベースからの情報窃取と認証済みコンテンツの改ざんの両方を含むため、対策は脆弱性自体の修正と、侵害の可能性がある場合の事後対応の両面から行う必要があります。
slugフィルターパラメータを含むリクエスト、記事の一括更新処理の痕跡が無いかを重点的に調査します 。パッチの提供は迅速でも、実際に適用されるまでのタイムラグこそが常に最大の課題です。今回のキャンペーンは、深刻度の高いCMSの脆弱性が公表後に消え去ることはなく、攻撃者にとって格好の「武器」となり、アップデートを怠った組織が積極的に標的にされるという現実を、改めて痛感させるものです。