これが初めての衝突ではない。停戦が発効した4月7日以降も散発的な戦闘は続いており、5月7日から8日にかけては、ホルムズ海峡付近で航行中の米駆逐艦トラクスタン、ラファエル・ペラルタ、メイソンがイラン側の攻撃を受けたと米中央軍が発表し、報復としてイランの軍事施設を攻撃している。
今回の紛争は、2026年2月28日に米国とイスラエルがイランのミサイルシステムや防空網、核施設に対し、わずか12時間で約900発もの空爆を実施したことに端を発する。これに対し、イランはイスラエルや米軍基地などへの報復攻撃を開始し、世界経済の生命線であるホルムズ海峡を封鎖した
。
5週間以上の戦闘の末、パキスタンの仲介により4月7日から8日にかけて2週間の一時停戦が発効。この停戦は延長を重ねてきたが、双方とも相手方による違反を非難し続けており、その基盤は極めて脆弱なままだった
。
トランプ政権高官はCBSニュースに対し、イランがHEUの処分について「原則的に合意」し、大筋で「基本原則への広範なコミットメント」が得られていると述べた。交渉は「90~95%完了」しているとの見方もある
。
しかし、最終合意への道のりは依然険しい。3つの根本的な対立点が立ちはだかっているのだ。
トランプ大統領は5月27日、ウラン放棄と引き換えの制裁解除を明確に否定した。
イランは「海峡に対する主権と管理権を保持する」ことを強く主張しているが、米国はこれを拒否。イランが4月初めに提示した和平案には、米軍の地域からの完全撤退や戦争損害賠償など、米国側が到底受け入れられない条件も盛り込まれている
。
米国が核問題の即時解決を求めるのに対し、イランは核協議を将来の交渉に先送りすることを希望。さらに、イランは和平合意にはレバノンのヒズボラに対するイスラエルの攻撃停止など、地域紛争全体の終結が不可欠だと主張している。イラン外務省のバガイ報道官も、協議中の合意案にはホルムズ海峡の管理方法に関する「具体的な詳細が含まれていない」と指摘している
。
トランプ大統領:
和平案は「大部分で交渉が済んでいる」と楽観的な見通しを示す一方、交渉団には「合意を急ぐな」と指示し、「時間は我々の味方だ」と主張。「イランは決して核兵器を持てない」と強調するが、ウラン放棄と引き換えの制裁解除は明確に拒否している
。
イラン外務省バガイ報道官:
米軍の攻撃を「不誠実さと信頼性の欠如の証拠」と激しく非難。合意案に海峡問題などの具体的な詳細が欠けている点を問題視し、核問題は第一段階の合意事項ではないとの立場を改めて強調した
。
停戦合意はもはや形骸化している。米国はあくまで「自制した行動」と主張し、イランも無人機撃墜は防空権に基づく「防衛的行動」だと反論する。両者とも自らを停戦違反とは認めず、応酬を続ける構図だ。
「高濃縮ウランの放棄」と「ホルムズ海峡の自由航行確保」という中核的な取引条件を軸に交渉は続くが、制裁解除を拒否するトランプ大統領の姿勢と、海峡の主権や地域紛争の包括的解決にこだわるイランの立場は、依然として大きく隔たっている。
Comments
0 comments