2020~2023年のパンデミック期の半導体不足は、物流の混乱と急な消費者需要の増加が原因だった。しかし今回は、メーカーが「意図的に」生産シフトした構造的な危機であり、回復には長い時間がかかる 。
その影響は価格に如実に表れている。TrendForceによると、DRAMの契約価格は2026年第1四半期に前期比で90~95%も急騰し、第2四半期もさらに58~63%の上昇が見込まれた 。2026年通年ではDRAM価格が約4倍になり、一部の品種では最大6倍に達した 。スポット市場では、1年で**約700%**も跳ね上がったケースがある 。
DRAMやNANDメモリを使うほぼ全ての製品が値上がりしている。具体的には以下の通りだ。
2026年7月30日の決算説明会で、不足は2027年にさらに悪化し、2028年まで続くとの見通しを示した。新工場の建設からウェハー生産開始までに3年半以上かかるため、「短期的な供給増は困難」と述べている 。最高財務責任者(CFO)は「2028年までに大幅な供給増が見込める可能性は低い」と説明した 。
2027年までにHBMがDRAMウェハー総容量の**30%を消費し、供給は需要の60%**しか満たせないと予測。DRAMの需給逼迫は2027年まで続くと見ている 。一方、NANDフラッシュについては、2027年下半期に新たな生産能力が稼働し、供給が緩むと予想している 。
AIサーバー用DRAMのコストは2026年第1四半期だけで約2倍になり、通年では4倍になると予測。3社のメモリーメーカーには2029~2030年まで「総合的な能力不足」が続くとしている 。ハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)は2026年のデータセンター投資の約30%をメモリに費やし、2027年には36%に上昇する見込みだ 。
RAMageddonは一時的な問題ではない。AIの需要が消費者向け製品のチップ生産を圧迫している構造的な危機だ。2025年初頭以降、DRAMやNANDの価格は2~6倍に上昇した。ゲーム機、ノートPC、タブレット、スマホ、テレビ、オーディオ機器など、あらゆる家電が値上がりや品不足に見舞われている。
つまり、家電の価格が「元の水準」に戻るには、あと数年かかる――あるいは、戻らないかもしれない。買い替えや新規購入を検討しているなら、今後の価格動向をよく見極める必要がありそうだ。