同社の狙いは、知的財産(IP)に関わる訴訟や分析で発生する膨大なリサーチ作業を、AIエージェントのチームによって自動化することです。
Stiltaは、特許実務家向けの「エージェント型AI(agentic AI)」ソフトウェアを開発しています。これは単一のAIアシスタントではなく、複数の専門エージェントがそれぞれの役割を担いながら分析を進める仕組みです。
このプラットフォームは主に以下のユーザーを想定しています。
これまで人手で何時間、場合によっては何日もかかっていた技術文書の調査や分析を、AIが高速に実行できるようにすることを目的としています。
さらに、AIの出力には**根拠となる情報源や引用が付く「証拠付き分析」**が含まれており、弁護士や専門家が結果を検証できる設計になっています。
StiltaのAIエージェントは、特許紛争やIP戦略に関わる複数の作業を支援します。
特許訴訟では、こうした作業の精度とスピードが結果を左右することも少なくありません。
Stiltaは、Oskar Block、Tobias Estreen、Petrus Werner、Oscar Adamssonの4人によって設立されました。
創業メンバーはいずれも、マッキンゼーのAI部門 QuantumBlack でエンジニアとして働いた経験を持っています。
その後、同社はスタートアップ育成プログラム Y Combinatorの2026年冬バッチにも採択されています。
特許訴訟は、法律分野の中でもデータ量が多く、費用も巨額になりやすい分野です。
弁護士は通常、次のような作業に膨大な時間を費やします。
しかも、重要な特許や先行技術を見逃すと、数十億ドル規模の損害やライセンス価値に影響する可能性もあります。
こうした背景から、投資家はAIによる自動化に大きな可能性を見ています。Stiltaの構想では、AIエージェントがジュニアアナリストのチームのように動き、大量の資料を高速で分析します。
さらに、同社は訴訟だけでなく特許ポートフォリオの収益化にも機会があると考えています。
多くの企業や研究機関は、価値がある可能性のある特許を保有していても、
「誰がその技術を使っているか」を特定する調査コストが高すぎるため活用できていないケースが少なくありません。
AIがこの発見作業を自動化できれば、眠っていた知的財産から新しいライセンス収益を生む可能性があります。
法律分野のAIはこれまで、契約書の作成や文書レビューなどの用途が中心でした。しかし最近は、特定の専門分野に特化したAIツールが増えています。
特許訴訟はその代表例です。
こうした条件は、専門特化型AIにとって非常に相性が良い領域です。
Stiltaはこの分野に絞ることで、特許専門家向けのAIプラットフォームを構築し、AIが調査と分析を担い、弁護士が戦略と議論に集中する世界を目指しています。