今回のラウンドには18の投資家が参加したと報じられている。公表された参加者には、上海市系の投資会社であるShanghai Alliance Investmentや、ディープテック分野を手がける投資会社CAS Starが含まれる。
資本構成は、中国国内での支配権を維持する形に設計されている。外国資本は参加できず、新たな外部投資家の持ち分も合計20%以下に制限された。Reutersも、当初発表された資金調達について同様の20%上限を報じている。
Qianfanは、段階的に規模を拡大する計画だ。
238基という数字は、324基の初期ネットワーク目標の約73%にあたる。一方、最終的な1万5,000基超という目標に対しては、まだ約1.6%にとどまる。つまり、初期段階では着実に進展しているものの、世界規模のネットワーク完成にはなお長い道のりが残されている。
SpaceSailは、中国が大規模な低軌道通信網を構築する取り組みのうち、上海を基盤とする商用部門に位置づけられる。Qianfanは、中国国内や海外へのブロードバンド接続を提供し、米国のSpaceXが運営するStarlinkに代わる選択肢となることを目指している。
低軌道の巨大衛星コンステレーションが拡大するにつれ、衛星数だけでなく、打ち上げ頻度、周波数へのアクセス、通信エリアも重要になる。SpaceSailにとって今回の約70億元の調達は、単なる資本政策ではない。衛星の打ち上げや技術開発を続け、軌道上で確かな位置を築くための資金でもある。
Qianfanの直接通信については、「すでに商用サービスを提供している」と単純に捉えるべきではない。
SpaceSailは2026年6月、特別な改造を施していない市販スマートフォンを使い、衛星経由の音声通話に成功したと報じられている。実証には試験用衛星「DTC 01」が使われ、324基で初期サービスを開始し、最終的には1万5,000基超を目指すロードマップも示された。
これは、衛星とスマートフォンを直接つなぐ「ダイレクト・トゥ・セル(DTC)」技術への進展を示すものだ。ただし、Qianfanが現在、広く利用できる商用スマートフォン通信サービスを提供していることや、検証済みの契約者基盤を持つことまでは確認できない。現時点では、DTCは「実証された技術および戦略目標」と表現するのが適切だ。
| 指標 | Qianfan / SpaceSail | Starlink |
|---|---|---|
| 報告された衛星数 | 238基 | 1万基超 |
| 長期的な衛星数目標 | 1万5,000基超 | 今回の比較では不要 |
| 報告された契約者数 | 提供資料に検証済みの数字なし | 2026年第2四半期に有料契約1,200万 |
| 所有・資金構造 | 国内資本中心で国家系株主と連携。外国資本は参加不可 | SpaceXが運営 |
商用面での差はさらに測りにくい。提供された資料には、SpaceSailまたはQianfanの契約者数について検証済みの数字がないためだ。一方、Starlinkは2026年第2四半期までに有料契約数1,200万を達成している。
SpaceSailの69億7,600万元の調達は、中国のQianfan計画に大きな資金力を与え、国内の政府系・機関投資家から強い支援を受けていることを示した。約500億元の企業価値と1万5,000基超の長期目標を考えれば、Qianfanは小規模な実験的衛星網ではなく、中国の通信・宇宙戦略に関わる本格的なプロジェクトだといえる。
ただし、調達額や将来計画を、現在の運用規模と混同してはならない。Qianfanは238基の衛星を配備し、DTC機能も試験で実証した段階にある。衛星数、通信エリアの成熟度、顧客基盤のいずれでも、Starlinkがなお大きく先行している。
現時点のSpaceSailは、Starlinkと肩を並べる存在というより、世界規模の衛星ブロードバンド網に向けて加速する、資金力のある挑戦者と見るのが妥当だ。