不完全で分散した情報から全体像を組み立て、データ同士の関係や抜け落ちた部分、潜在的なリスクを見つけ出す。この知見は、同社が当初からサイバーセキュリティに焦点を当てた理由を理解する手がかりになる。
Prevalent AIは自社の技術を、AI搭載のデータファブリックおよびソブリン知識グラフと説明している。簡単に言えば、企業内のさまざまなシステムから情報を取り込み、それらの関係性を保ったまま、組織全体を一つのモデルとして把握できるようにする仕組みだ。
知識グラフでは、例えば次のような関係を表現できる。
この仕組みの利用者はセキュリティ専門家だけではない。Prevalent AIは、企業の状況を正確に理解してから行動する必要がある事業部門やAIエージェントにとっても、接続された企業コンテキストが基盤になると位置付けている。
サイバーセキュリティは、データの分断が直ちに業務上の損害につながりやすい領域だ。セキュリティチームは、膨大なシステム、ID、管理策、データソースを横断して重要な判断を下さなければならない。しかし、各システムの情報が一致しなかったり、全体像の一部しか示していなかったりすることがある。
このような影響の大きい環境で技術を検証したことで、Prevalent AIは、より広い企業の課題にも同じ考え方を適用できると見ている。人間であれ自動化されたシステムであれ、組織内の複数部門に散らばるデータをもとに判断する場面では、信頼できる最新のコンテキストが必要になるためだ。
製品の基本構想は変わらない。異なる情報を接続し、記録間の関係を維持し、組織の現状を人間やAIシステムが問い合わせられる形で提供する。変わるのは、そこから答えを導くビジネス上の問いだ。セキュリティ上の脆弱性、規制対応の義務、金融犯罪リスク、業務上の依存関係などに応用できる。
IGPからの投資は、主に次の4分野に充てられる見通しだ。
今回の調達が注目されるのは、同社にとって9年間の歴史で初めてのプライマリー資金だからだ。企業および業界関係者の報告によれば、Prevalent AIはこれまで、機関投資家からの資金に頼るのではなく、顧客需要と収益性を通じて成長してきた。
Prevalent AIが知識グラフを単なるサイバーセキュリティ向けのデータ保管場所として売り込んでいるわけではない。同社のより大きな主張は、AIエージェントが企業内で安全かつ安定して動くには、組織の構造や資産、権限、業務上の関係を理解できる信頼性の高い層が必要だ、というものだ。
2200万ドルの投資によって、同社はこの構想をより大きな規模で検証できるようになる。まずは販売・マーケティング体制と米国での事業基盤を拡大し、その後、サイバーセキュリティで検証したデータ基盤を、企業リスクに関する幅広い判断へ適用していく。
今後の焦点は、複雑な顧客データを新たな領域でも接続された状態に保ち、常に最新で、なおかつ人間とAIの双方が使える形で提供できるかどうかにある。